ここから本文です

軍備ゼロ、自然エネ100%の国「コスタリカ」(上)

6/7(金) 7:02配信

オルタナ

■コスタリカレポート(上):「人権と対話」を追求する平和国家

中米のコスタリカは自然エネルギーだけで電力を賄い、自然保護を徹底して進める環境立国として有名だ。同時に、紛争の多い危険な中米にありながら軍隊を持たず、平和、人権の分野でも際立った存在感を示している。先進国でもない中進国、そして紛争の多い中米地域にある小国が「世界幸福度」でトップとなるのは何故なのだろうか。前半はこの国の基本を形作る平和戦略についてレポートする。(環境ライター 箕輪弥生)

70年間軍備なしで平和を維持

「Pura Vida!」(プーラ・ヴィダ)。コスタリカの国を理解しようとする時に最も身近でわかりやすい言葉だ。誰もが挨拶の代わりにも使い、旅行者もまずこの言葉を覚える。直訳すると「純粋な人生」となるが、「おおらかに人生を楽しもう」「どんな時でも今を幸せに生きよう」という意味も含まれる。コスタリカ滞在中にも何度もこの言葉を聞き、そのたびに何故か幸せな気持ちになった。実際、さまざまな幸福度指数でコスタリカは上位に位置している。

コスタリカは今から70年前に日本に次いで平和憲法を作り、常備軍を廃止した。国家の非常事態の際には軍隊の編成権限が大統領に与えられるが、憲法制定以来一度も軍隊が組織されたことはない。

1983年には「非武装中立」を宣言した。この時期はコスタリカに隣接するニカラグアやエルサルバトルなどが内戦を行い、米国による介在があったが、当時のルイス・アルベルト・モンヘ大統領はこれを良しとせず、国際紛争を行わないだけでなく、大国からも自立した外交を行うことを宣言した。この動きを進め、中米和平合意を実現させたオスカル・アリアス・サンチェス元大統大統領は1987年に「ノーベル平和賞」を受賞している。

「対話」を追及する平和国家

コスタリカで紛争、軍備に替わるものは「対話」と「教育」である。

もちろん、紛争の多い地域で軍備を持たないコスタリカはこれまでも何度か紛争に巻き込まれる危機はあった。2014年に隣国のニカラグアがコスタリカの一部を占領した際は国際司法裁判所に訴え紛争を解決した。

武器を持つ国と軍備で対応するには軍事力の競い合いになるが、コスタリカは「競争ではなく協力」、つまり武器や軍備ではなく国際法や国際機関の力を活用してきた。武器をもたない国に武力を使おうとする国に対して国際社会がどう反応するかは結果を見ても明白だ。

軍備を解いたホセ・フィゲーレス大統領は「世界の政治的見解が我々の軍だ」と話したと言うが、その意思は国民の間にも現在も浸透している。首都サンホセには1980年に「国連平和大学」が開校され、紛争管理と平和構築における革新的な視点を学ぶために世界から留学生が集まる。

公認ガイドの上田晋一朗さんも「コスタリカに20年以上住んでいるが、口論している場は見ても暴力を街で見たことがない」と話す。市民の間にも対話で争いを解決することが根付いているようだ。

1/2ページ

最終更新:6/17(月) 14:32
オルタナ

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事