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原因はスノーボールアース、プレート運動の新説が物議

6/7(金) 18:54配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

氷河の侵食で生じた堆積物がプレートの潤滑剤になった、ネイチャー誌

 地球の地殻はジグソーパズルのピースのようなプレートに分かれていて、常に動いている。私たちはふだん気づかないが、プレート同士はたえず衝突したり、一方が他方の下に沈み込んだり、互いに遠ざかったりして、山脈や火山や海嶺を形成している。

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 しかし、地球の歴史の中で、プレート運動は常に起きていたわけではない。それがいつ始まり、どう変化してきたかについては、今でも激しい論争がある。

 このプレート運動の謎に関して、6月5日付けで学術誌「ネイチャー」に発表された論文が物議を醸している。それによると、現在のプレート運動の始まりは、7億年ほど前に地球全体が氷に覆われて雪玉のようになった「スノーボールアース(全地球凍結)」が引き金になった可能性があるという。

氷河が削り出した「潤滑剤」

 この時期における氷河の激しい侵食作用により、地表は数kmも削り取られた。今回の論文は、その堆積物が、プレート運動を本格化させるのに必要な潤滑剤の役割を果たしたのではないかと主張している。

 しかも、それが起きたのは1回だけではない、と論文を書いた研究者たちは考えている。著者である米メリーランド大学のマイケル・ブラウン氏とドイツ、ポツダム地球科学研究センター(GFZ)のステファン・ソボレフ氏は、これまでに発表された地質学や地球化学のデータに基づき、24億5000万年前から22億年前にかけて起こった別の全地球規模の氷河期も、同じように過去のプレート運動を引き起こしていたのではないかと提案している。

 こうしたプロセスが、いつ、どのような原因で始まったのかを理解することは、今日の地球を理解し、プレート運動が将来どうなるかを予想するのに役立つはずだ。とはいえ、それを解明するのは容易ではない。プレート運動により地球の表面が効率よくリサイクルされているせいで、数百万年前から数十億年前の地殻に起きていた証拠が失われているからだ。

「証拠の保存状態に問題があるのは明らかです」とブラウン氏は言う。「今ある証拠でどうにかするしかありません」。一部の科学者は、断片的な地質記録を最大限に活用して、広い視野で古代の地質過程を捉えようとする研究チームのこうした試みを賞賛する。

「これだけ総括的な展望が示されたのは、今回が初めてです」と話すのは、スイス連邦工科大学チューリッヒ校のタラス・ゲリャ氏だ。「それが、この論文の優れた点の1つです」

 一方、懐疑的な研究者もいる。米ミネソタ大学ダルース校のビッキー・ハンセン氏はその1人だ。まだ論争が決着していない問題について、この論文はあまりにも断定的に結論を下している、と異議を唱えている。

「ごまかしが多い論文だと思います」と彼女は言う。「これこれの時期に大規模なプレートの沈み込みがあった、などと言ってはいけません。我々はプレート運動が始まった時期さえわかっておらず、今でも激しい、非常に激しい論争が続いているのですから」

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