ここから本文です

校則がないからこそ、教師と生徒は対等に話し合うことができる――西郷孝彦校長インタビュー

6/7(金) 6:00配信

文春オンライン

 世田谷区桜丘中学校。私鉄の駅から徒歩10分ほどの住宅街にある。職員室前の廊下には机と椅子がフリースペースとして置かれ、Wi-fiも完備されている。授業時間だったが、インターネットに接続しながら、話をしたり、自分のペースで勉強をする生徒もいた。校長室でも、塾の宿題をしている生徒が校長と談笑する姿が見られた。

【写真】この記事の写真を見る(10枚)

 この学校はチャイムが鳴らない。そして何より、校則がない。

 生徒手帳には「礼儀を大切にする」「出会いを大切にする」「自分を大切にする」が「心得」として掲げられ、また、子どもの権利条約の一部が示されている。なぜ、こうした学校運営が可能なのか。西郷孝彦校長(64)に話を聞いた。

◆◆◆

「心得」の3つですべてが指導できます

――生徒手帳には「桜丘中学校の心得」が3つだけ書かれていますが、以前は校則があったのでしょうか?

西郷 以前の生徒手帳には、校則が20ページほど書かれていました。例えば、「他のクラスの教室に入ってはいけない」とか、「上級生は下級生と話してはいけない」とか。下着の色を決めている学校だってありますよね。以前の勤務校では、こうした細々とした校則がありました。

 校則のことを考え始めたのは、この桜丘中学校に赴任してから、ここ4、5年のことですね。当初は、校内がいわゆる「荒れた」状態にありました。見直すことになったときに、本当はいらなかったのですが、何もないと不安に思う人もいる。校則は最終的には校長判断ですが、「3つくらいにしよう」と提案したときに、生活指導主任が原案を作ってくれました。この3つですべてが指導できます。先生方はこれをよりどころに指導します。

 この学校では制服も自由です。(身体的な性と、自認する性が違う)トランスジェンダーの生徒もそれで救われると思います。

――生徒手帳に子どもの権利条約が記されていますが、珍しいですね。

西郷 日本は法治国家です。この学校に校則はないですが、日本の法律には縛られています。例えば、校内でも他人のものを勝手に自分のものにすれば、窃盗罪ですよね。誰かを傷つければ傷害罪です。よく「学校の中は治外法権だ」とか、「学校だから許される」と言われますが、それはやめようと。社会と同じ規則で学校も回っています。

 日本は子どもの権利条約に批准しています。だから、法律と同じ。そう子どもに教えないといけませんし、先生も守る必要があります。権利条約に掲げられた権利を知ることで、大切にされていることがわかり、子どもは自己肯定感が得られます。

1/4ページ

最終更新:6/7(金) 12:54
文春オンライン

記事提供社からのご案内(外部サイト)

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事