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次の『マネー・ボール』はなにか?~スポーツアナリティクス2.0の時代へ (神事努 氏) 第2章

6/8(土) 10:06配信

コーチ・エィ

「トラックマン」というデータ計測機器について耳にしたことがあるだろうか。プロゴルファーが使い始めて一躍有名になった、弾道を測定する高性能の機器だ。トラックマンを使うと、ヘッドスピードやスイング軌道だけでなく、ボールが当たる瞬間のクラブのフェースの面の向きや角度など25項目にも及ぶスイング数値が一瞬で弾き出されるという。その後、テニスや野球などでも使われ始め、現在、日本のプロ野球でもほとんどの球団が導入している。トラックマンのような高性能の機器が次々開発され、さまざまなデータが取れるようになり、スポーツアナリティクス(スポーツにおけるデータ戦略)は格段に前進したという。プロ野球チームにデータを活用したコンサルティングを行う株式会社ネクストベースのフェローであり、バイオメカニクスの研究者である神事努氏に、スポーツアナリティクスの現在についてお話を伺った。

第1章 『マネー・ボール』からスポーツアナリティクスはどう変化したか
第2章 データを能力開発に活かすということ
第3章 データ時代のコーチの存在意義
第4章 これからのスポーツの楽しみ方

第2章 データを能力開発に活かすということ

どんなに豊富なデータが入手できるようになっても、それをうまく活用できなければ意味がありません。データを活用できる選手やコーチと、うまく扱えない選手やコーチにはどのような違いがあるのでしょうか。


ーー データを活かすことができる選手とできない選手の違いは、どんなところにありますか。

神事) データを活かすことができる選手は、精神的に自立しています。情報を受け入れる準備ができている。また、うまくなるためにどんなことでもやってみたいと思っている人、現状に満足していない人もデータをうまく活用しています。「こうしたらもっとうまくなるんじゃないか」と常日頃考えている人は飲み込みも成長も早いです。ただ、そういう人はあまり多くはありません。

ーー どういうところで、その違いが生まれてくるのでしょうか。

神事) 高校や中学の部活の時代から、たとえば自ら練習メニューを作るなど、自分の頭で考えてやってきた人と、「これをやれ、あれをやれ」と人に言われるままやってきた人の違いだと思います。自ら考えて工夫して育ってきた選手は、情報をインプットする力があるので、情報を与えると自ら解釈、咀嚼してくれます。一方、言われるままやっているうちに動きが自動化してしまった選手は、それを言語化できません。このような指導者の強制力が優位な練習環境で育ったプロ選手は、自ら情報をインプットすることに慣れていないので、なかなかデータを活用しきれません。少し情報が増えただけで「もう無理です」と情報処理ができなくなってしまいます。

ーー データを活かせる選手は、自分の頭で考えることができる選手ということですね。

神事) 彼らはみんなとても「大人」なんです(笑)。足りないことがわかっているので、動画で勉強もするし、本も読みます。そういう人は、情報を与えるとすごい勢いで吸収します。自分の頭で考えることのできる選手たちは学校での勉強もできるだろうと思いますよ。

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最終更新:6/8(土) 10:06
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