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スタンディングデスクには意味がない?

6/8(土) 12:11配信

WIRED.jp

立ちすぎにも病気のリスク

BMI(体格指数)や年齢など、ほかのさまざまな要因も関与している可能性があることを考えると、座っていることとトロポニンとの直接的な関係を証明するのは難しい。その仕組みは不明なままではあるが、依然としてわたしたちの不安の種になっていることは確かだ。一日中、画面の前で座ったまま過ごすことが必要な仕事は非常に多いので、不安は当然のことだろう。

英国民健康保険サーヴィス(NHS)は、同僚にメールを送る代わりに「同僚のデスクまで歩く」ことや、箱の上にノートパソコンを置いて立って仕事をすることをすすめている。米国医師会も、企業は従業員に対して、一日中座って働く以外の選択肢を与えるべきだと主張している。

そしてビジネスチャンスに鼻が利く起業家たちによって生み出されたのが、「スタンディングデスク」ブームだ。スタンディングデスク市場は、2025年には28億ドル(約3,130億円)規模になると予測されている。

しかし、スタンディングデスクを使用しても、心臓の健康には役立たないようだ(筋肉痛の緩和には役立つかもしれないが)。トロント大学インスティチュート・オブ・メディカル・サイエンスで公衆衛生を研究するシニア・サイエンティストのピーター・スミスによれば、職場で数時間長く立っていたとしても、心血管疾患のリスクを著しく下げるほどのエネルギー消費にはつながらないという。

「もし、座っている代わりに1時間ほど立っていたとすれば、9キロカロリーくらい多く消費されます」と、スミスは語る。「つまり、パン1切れ分のエネルギーを消費するには、6時間も長く立っていなければならないことになります。そんなに長く立ったままでいると、逆に心臓病などの病気のリスクが高まってしまいます」

つまり、一日中座っているデスクワーカーにとって、スタンディングデスクのような選択肢は、心臓病リスクの低下にはつながらないのだ。さらに重要なのは、公衆衛生機関が次々と発表するガイドラインはどれも、オフィスでじっとしている時間に的をしぼっているという点である。こうしたガイドラインはピントがずれている。

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最終更新:6/8(土) 12:11
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