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エアコンがCO2を燃料に変える“工場”になる?

6/8(土) 14:12配信

WIRED.jp

地球の気候は悪循環で溢れている。降雨量が減れば山火事の危険性が高まり、二酸化炭素(CO2)の排出量が増える。北極の温暖化が進むと永久凍土が解け、そこに閉じ込められていたメタンが放出される恐れがある。放出されたメタンは、CO2よりも速く地球を暖めることになる。

光合成する「バイオカーテン」で都市の空気をきれいに

だが、地球温暖化の悪循環の要因のうち、あまり知られていないものが身近にある。エアコンだ。エネルギーを大量消費するこの家電製品を使うと、CO2の排出を引き起こし、地球温暖化に拍車がかかる。そうしてわたしたちがエアコンを使えば使うほど、CO2の排出量が増え、温暖化が進む。

しかし、エアコンの利用によってCO2の排出量を増やすのではなく、大気中からCO2を除去するための切り札にできるとしたら──。エアコンのそうした活用が可能であるとする新たな論文が、このほど学術誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』に掲載された。

エアコンから燃料をつくる「クラウドオイル」

論文によると、現在開発中の技術を使えば、超高層ビルや一般住宅に設置してあるエアコンがCO2を取り込み、燃料に変換する装置に変わるという。つくられた燃料は、電動化が困難な貨物船などの動力源として使える。

論文では「クラウドオイル(crowd oil)」と呼ばれているこのアイデアは、いまのところ理論上は可能だという程度のもので、実用化には多くの課題がある。とはいえ、地球温暖化対策が待ったなしの状況にあるいま、気候変動を阻止するための勝負の場でクラウドオイルは活躍する余地があるかもしれない。

エアコンの問題は、それが大量のエネルギーを必要とするだけではなく、熱を排出する点にもある。今回の論文の共同執筆者であり、トロント大学で材料科学を専門とするジェフリー・オジン教授は次のように語る。「何も犠牲にせずにエアコンのメリットを享受できるわけではありません。エアコンは何かを冷やすと同時に何かを温めているのです。その熱は街中に排出されます」

これによってヒートアイランド現象が深刻化する。ヒートアイランド現象とは、都市の大量のコンクリートが大量の熱を吸収し、日没後に熱を放射する現象だ。

エアコンを改良し、CO2を取り込んで燃料に変えるようにするには、エアコンの部品を大幅に改変しなければならなくなる。汎用的な周辺機器を出荷すれば済むというわけにはいかないということだ。

まず必要なのは、大気中のCO2と水分を吸着するためのフィルターだ。水(H2O)から酸素(O)を取り除いて水素(H2)にするための電解槽も必要だ。その後、このH2をCO2と組み合わせて炭化水素燃料をつくる。「つまり、誰もが自分の油井をもてるわけです」とオジンは言う。

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最終更新:6/8(土) 14:12
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