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エアコンがCO2を燃料に変える“工場”になる?

6/8(土) 14:12配信

WIRED.jp

燃料を燃やして出るCO2への対処

研究者は、この技術をドイツのフランクフルトにあるメッセタワーで利用すると仮定して分析した。ちなみにメッセタワーを選んだのは、主執筆者でカールスルーエ工科大学教授のローラント・ディットマイヤーである。彼はメッセタワーがフランクフルトの景観のランドマークであることから、この建物を選んだ。

容積約20万立方メートルのメッセタワーなら、毎時1.5トンのCO2を取り込み、年間4,000トンの燃料をつくることができる。

比較のために書いておくと、スイスのクライムワークス(Climeworks)がつくった初めての商業用「直接空気回収(DAC)プラント」は、年間900トンのCO2を大気中から直接取り込む。ディットマイヤーによると、その量はメッセタワーが取り込むCO2の量の10分の1未満だ。ディットマイヤーらが提示した技術を5~6部屋の集合住宅に適用すると、毎時0.5kgのCO2を取り込める計算になるという。

理論上はエアコンさえあれば、どこでも合成燃料をつくれる。「重要なのは、その場でCO2を液体に変えられることです。パイロット規模のプラントではすでに可能になっています」とディットマイヤーは説明する。彼は同僚とともにプラントで実験し、1日当たり10リットルの合成燃料をつくった。彼らは向こう2年間で生産量を20倍に増やしたいと考えている。

ただし、このプロセスをカーボンニュートラルにするためには、高性能エアコンのすべての動力源を再生可能エネルギーにすることが前提となる。合成燃料を燃やすと、そこでまたCO2を排出してしまうからだ。

この問題への対応策として、ディットマイヤーは建物全体をソーラーパネルにしてしまうことを提案している。建物の屋根だけでなく、正面や窓も、極薄で大きく透明なソーラーパネルで覆ってしまうのだ。

「木が光合成するようなものです。こうすることで、超高層ビルもあなたの家も化学反応を引き起こします」とディットマイヤーは話す。もちろんそんな建物の改造は容易ではない。CO2吸収装置の設置は、CO2削減のための解決策の一部にすぎないことを忘れてはならないのだ。

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最終更新:6/8(土) 14:12
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