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ウミガメも産卵する奄美大島“ジュラシック・ビーチ”が不要な護岸工事で破壊される!?

6/8(土) 15:31配信

HARBOR BUSINESS Online

「砂浜の浸食」を理由に、手つかずの海岸に護岸壁

 世界自然遺産登録を目指す奄美大島南部が、開発問題に揺れている。山、川、海が一体化し、人工物で区切られることのない地形が集落と接する嘉徳海岸は、国内でも有数の砂丘を有する、奄美群島で唯一の「護岸堤のない」手つかずの海岸だ。

⇒【画像】5月上旬、嘉徳浜に上陸したウミガメの足跡(住民撮影)

 集落の人口はわずか20人程度。3億4000万円の予算を投じたコンクリート護岸壁の造成工事(侵食対策事業)が、5月8日から着手されている。完成すれば、高さ6.5m幅180mの壁が立ちはだかることとなる。工事の主たる名目は「砂浜の流出から、海に面した墓地と住民の財産を守るため」とのことだ。

 流出の原因は、表向きでは2014年の台風で起こった砂浜の侵食とされる。砂浜が削られたことで「生活、財産が不安にさらされる」として集落住民が不安を訴え、3年後の2017年、県は当初計画で幅530mのコンクリート護岸壁の建設予定を発表した。

 その後、5年かけて砂浜は回復しているものの、事業計画は続行し、地元では意見が割れて今日に至る。

「回復傾向にあるのに、事業は継続されるのか? 希少生物保護の観点から、計画の見直し・代替工法を検討してほしい」という反対の陳情が2回、「先祖の遺骨が流出する不安から、夜も眠れない。集落民は工事の早期着工を望んでいる」という続行の陳情が1回、2017年の鹿児島県議会に交互に提出されている。

 そもそも、それほどまでに大きな構造物は本当に必要なのだろうか?

砂浜の浸食は“人災”。人間が手をかけなければ自然と回復する

「2014年以降、大きな台風が何度か来たが、砂浜の侵食は起こっていない。当時の唐突な侵食の原因は別にある。これは人災でもある」

 そう話すのは、地元で護岸工事の中止を訴える島民たちだ。背後には、自治体が絡む2つの土木事業がある。島民たちは口々にこう語る。

「十数年前から侵食が起こる2014年まで、嘉徳浜の3km沖では、県が認可した業者による大規模な海砂採取が行われていた。海底に穴が空き、そこを補うように岸から砂が流れ込んだ」

「瀬戸内町は2013年から、河口閉塞を原因としてショベルで河口付近の砂浜を採掘して河川の流れを変えている。それにより砂が戻ってくる流れが途絶え、直接的な侵食を引き起こした」

 コンクリート壁の建設に反対する「奄美の森と川と海岸を守る会・嘉徳浜弁護団」のメンバーの主張は以下の通りだ。

「工事が止まってからは、巨大な台風の直撃にも耐え回復傾向だ。自然には復元力があり、人為的な手段を取らなければ砂は戻る」

「奄美の森と川と海岸を守る会・嘉徳浜弁護団」は今年3月末、工事の差し止めを求めて鹿児島県を提訴した。環境省が近年後押ししている「生態系を活用した防災・減災計画」に則った、植樹などで砂浜を守るECO-DRR工法を代替工法として提案している。

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最終更新:6/8(土) 15:31
HARBOR BUSINESS Online

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