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FCA・ルノー統合騒動でわかった「日産の弱点」

6/8(土) 5:10配信

東洋経済オンライン

 世界の自動車関係者が驚いた経営統合提案は、わずか10日間でまさかの結末となった。

 欧米自動車大手のFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)は6月6日、フランス大手のルノーに5月27日に提案していた経営統合案を取り下げた。統合が実現すれば、ルノーと提携する日産自動車の独立維持に黄色信号が灯っていただけに、日産関係者はほっと胸をなで下ろしたに違いない。

■フランス政府の介入で経営統合案は破談に

 「フランスにおける政治的条件により、現在この統合を実現できる状況にないことが明らかとなった」

 FCAが統合提案撤回と同時に発表した声明には、ルノーの筆頭株主であるフランス政府が交渉に介入したことへの批判がストレートに記されていた。

 各種報道によると、フランス政府はFCAとルノーとの統合持ち株会社での取締役ポストや首脳人事、フランス国内での雇用維持の確約などの要求を繰り返した。統合比率や取締役会の構成、本社所在地など詳細をFCAとルノー双方で詰めた上で統合提案したにもかかわらず、ちゃぶ台返しするようなフランス政府の態度にFCA側の嫌気が差したということが早期撤退の背景にある。

 民間企業の経済合理性に基づく経営判断を、政治的な横やりで歪める。今回の提案撤回は、フランス政府が自国の国益に資するよう、日産の経営に対し、ルノーを通じてたびたび口出しをしてきた経緯と重なる。

 ルノーと日産の現状の資本関係を見ると、日産に43.4%を出資するルノーには議決権がある一方で、日産が保有する15%のルノー株には議決権がない。フランスの会社法では、ある会社から40%以上の出資を受けている場合、出資元の株式を保有していても議決権を行使できないとの規定があるためだ。

 対して、同じくルノーに15%出資するフランス政府は、長期保有株主の議決権を2倍にする国内法「フロランジュ法」を2014年に成立させたことで、ルノーの議決権の3割弱を握っている。その結果、ルノーへの発言力を通じて日産にも影響力を及ぼしてきた。

 フランス政府やルノーによる圧力から身を守るため、日産が2015年に勝ち取ったのが、ルノー側から不当な経営干渉を受けたと判断した場合に、ルノーの同意なしにルノー株を買い増せる権利だ。これは「改定アライアンス基本合意書(RAMA)」と呼ばれる2社間協定に盛り込まれており、日産の経営の独立性を一定程度保障している。

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最終更新:6/8(土) 5:10
東洋経済オンライン

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