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日産はなぜキューブを見殺しにしているのか?

6/9(日) 13:00配信

ベストカーWeb

「十年ひと昔」ということわざもあるが、11年前といえば、ずいぶんと昔に感じるのではないだろうか。

 現行「Z12型キューブ」が登場したのは2008年、つまり11年前。

 その間大きな変更をされることもなく、いわば「放置」されてしまっている。「日産はキューブを見殺ししている」といっても過言ではない。それはなぜか。どんな事情や理由があっての判断で、その判断は正しいのか。元自動車メーカーの開発エンジニアの筆者が考察する。
文:吉川賢一

■「キューブ」の歴史を振り返る

 初代「キューブ」は1998年登場、マーチをベースに四角をモチーフにしたボディスタイルで登場し、ハイトワゴンとして人気を得た。

 2代目は2002年に登場、初代の「キューブらしさ」を継承しつつも、特徴的なリヤの非対称デザインと丸みを帯びた四角が絶妙で、日本国内で大きく売れた。3代目は2008年登場、キープコンセプトながらも、広くお客さまに受け入れられた。なお3代目は北米、欧州、韓国など、海外でも販売されていた時期があった。

 また、日産車にしては珍しく、デザインのセンスのよさが認められ、オートカラーアウォード2009ファッションカラー賞およびインテリア部門賞を受賞、そして2018年にはグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞するなど、キューブは11年たった今見ても、完成度の高いデザインだといえるだろう。

■なぜにキューブは見捨てられたのか?

 キューブがモデルチェンジをしない理由となったキッカケは、「海外市場でのチャレンジの失敗」にあったと考えらえる。日産に限らず、自動車メーカーは現在、日本市場を「ほとんど」あてにしていない。

 日産の2018年世界販売台数は550万台、そのうち日本市場は57万台(10.3%)、中国156万台(28.3%)北米190万台(34.5%)、欧州64.3万台(11.7%)である。

 新型車ビジネスの主戦場は、中国や北米、ヨーロッパ、そしてアジアであり、日本は「おまけ」程度なのだ。トヨタやホンダもメインターゲットや割合は近しいであろう。

 自動車メーカーが確実に利益を上げていくためには、同一車種をグローバルで販売し、販売台数を増やす必要がある。

 そのため現行型(Z12型)からキューブは北米、欧州、韓国といった海外での販売を前提に、左ハンドル仕様が追加された。

 ファニーでレトロなデザイン、日本流のインテリアセンス、しっかりとした足回り、低燃費、安さなど、日産は「いける」と思ったはずだ。

 しかし海外では、発売当初は大人気となったものの、その後は不振となり、今ではどの地域でも廃止となっている。デザインのコンセプトや使い勝手は通用していたが、販売コストが見合わなかったことが原因だ。その結果、日本市場で生き延びるしかなくなった「キューブ」は、ひっそりとその寿命が尽きるのを待つのみとなってしまった。

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最終更新:6/9(日) 14:11
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