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KING OF PRISM、Mia REGINA、YURiKA、黒崎真音……意義ある“カバーソング”新譜6選

6/9(日) 15:01配信

リアルサウンド

 アニメ音楽・声優ソング周辺の新譜を紹介する本連載。今回はポピュラー音楽の分野においてスタンダードかつ人気の高い「カバーソング」という切り口で6作品をピックアップします。一口に「カバーソング」と言っても、その楽曲をカバーする理由や意義は人それぞれ。なのでここでは各作品の文脈も踏まえつつ紹介できればと思います。

 まずは『KING OF PRISM』シリーズの最新作として現在TV放送中のアニメ『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』(テレビ東京ほか)よりエンディングテーマをフィーチャー。「プリズムスタァ」と呼ばれるアイドルが人気を集める世界を舞台に、その候補生としてともに支え合いながら寮生活を行う7人の男性アイドルの活躍を中心に描く本作。その登場キャラクターたちが毎週持ち回りで担当するエンディングテーマが、すべてTRFの過去のヒット曲をカバーしたものなのです。

 実はこれには理由があって、現在までに劇場版を含め3作品が制作されている『KING OF PRISM』シリーズは、元々2013年にTV放送された女児向けアニメ『プリティーリズム・レインボーライブ』の公式スピンオフ作品として立ち上げられたもの。世界観やキャラクターは完全に共有されており、時系列的には『プリティーリズム・レインボーライブ』以降の物語が『KING OF PRISM』シリーズで描かれています。そして大元の『プリティーリズム・レインボーライブ』では、放送当初からTRFとの公式コラボレーションが行われ、ダンス&ボーカルユニットのPrizmmy☆が歌うTRFのヒット曲のカバー(「BOY MEETS GIRL」「EZ DO DANCE」「CRAZY GONNA CRAZY」)がオープニングテーマに起用されたほか、TRFのメンバーであるDJ KOOをモデルにしたキャラクター、DJ COO(CV:森久保祥太郎)が劇中に登場するなどしていたのです。

 そういった流れもあって過去の『KING OF PRISM』シリーズ(『KING OF PRISM by PrettyRhythm』『KING OF PRISM -PRIDE the HERO-』)でも「EZ DO DANCE」「CRAZY GONNA CRAZY」などのカバー曲が使われ、2017年にアニソンフェス『Animelo Summer Live』で劇中ユニットのKING OF PRISMが出演した際には、DJ KOO本人がサプライズで登場してキャストたちとコラボレーションするという熱い展開もありました。

 なので今回の『KING OF PRISM -Shiny Seven Stars-』における一連のカバーは、シリーズのファンにとっては必然にして待望となるもの。楽曲は週替わりということでバリエーションも一気に増え、太刀花ユキノジョウ(CV:斉藤壮馬)の艶めいた歌声と小室哲哉らしい切ない旋律が見事にマッチした「寒い夜だから…」、青森出身でねぶた祭り好きの香賀美タイガ(CV:畠中祐)が「そいやーっ!」と掛け声を上げながら熱く激しく高ぶる「masquerade」など、それぞれのキャラクターにマッチングした選曲&アレンジでTRFの名曲カバーを楽しむことができます(『レインボーライブ』時代からTRFカバー曲の編曲を担っているmichitomoの手腕も流石!)。これらのカバー曲は、各キャラクターをフィーチャーした「マイソングシングル」シリーズに収められる予定です。

 また、人気アプリゲームを原作とするTVアニメ『消滅都市』(TOKYO MX)からも印象的なカバーソングが誕生。それがメインヒロインのユキ(CV:花澤香菜)によるキャラクターソング「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」と「Hello, Again~昔からある場所~」です。『消滅都市』は、ひとつの都市が突然消滅してしまった世界で、その消滅から唯一生還したとされる少女のユキと、運び屋の主人公・タクヤが、消滅都市の謎を追う物語。都市の消滅を巡って様々な人々の運命や生死が時空を超えて交差するハードなSFストーリーとなっています。

 その第1話と第2話のエンディングテーマとしてオンエアされたのが、ユキによるYEN TOWN BAND「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」のカバー。原曲は岩井俊二監督の映画『スワロウテイル』(1996年)の主題歌で、主演のCharaが劇中バンドであるYEN TOWN BANDのボーカリストとして歌唱を担当し、小林武史の作曲・プロデュースによるノスタルジーを喚起するようなメロディとアレンジ、岩井、Chara、小林が共作した映画の内容とシンクロする歌詞の素晴らしさも相まって、当時オリコンウィークリーチャートで1位を獲得する大ヒットを記録しました。

 過去にも多くのカバーを生んでいるこの名曲を、花澤はユキのミステリアスで儚いキャラクター性に合わせたのであろう、感情の起伏をあまり感じさせない静かなトーンで歌唱。その繊細で今にも消え入りそうな表現が作品のどこか退廃的な世界観とも共鳴する、多くの人の心に残るであろう名唱となりました。同じく原曲は小林武史の90年代ワークとして知られるMy Little Lover「Hello, Again ~昔からある場所~」のカバーも、楽曲のメランコリックな雰囲気と花澤の透明感に満ちたボーカルとの相性が抜群。90年代J-POP再評価の流れを踏まえつつ、多くの視聴者層の懐かしい気持ちを絶妙に引き出す選曲も込みで、技ありの2曲をカップリングしたキャラソンシングルと言えるでしょう。

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最終更新:6/9(日) 15:01
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