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画家・横尾忠則、 小説家・平野啓一郎 対談「肖像画と物語について」

6/10(月) 18:53配信

T JAPAN web

画家・横尾忠則の創作の秘密を平野啓一郎がひもとく

 NHK大河ドラマ『いだてん』の題字やポスターデザイン、展覧会『奇想の系譜展』のスペシャルビジュアル制作など、82歳となった現在も創作ペースは衰えず、話題に事欠かない横尾忠則。昨年には、フランスのカルティエ現代美術財団の依頼で、同財団ゆかりのアーティストの133点に及ぶ肖像画を制作し、画集『カルティエ そこに集いし者』も刊行された。その尽きぬ発想力や創作意欲はどこからくるのか。その秘密の端緒に触れるべく、“対話相手”として横尾のアトリエを訪ねたのは、小説家の平野啓一郎だ。肖像画を描くこと、絵画における物語性とは、といった論点を通じて、平野が横尾の創作について尋ねるスリリングなひとときが始まった。

作品が所狭しと並ぶアトリエ

横尾 平野さんと初めて会ったのは美術関係の雑誌で対談したときじゃないかな。学生時代に芥川賞を受賞して三島由紀夫の再来と騒がれていたから興味がありました。

平野 僕は音楽が好きで、サンタナのアルバムジャケットにTadanori Yokooって書いてあるのを見て、あ、日本の人がデザインしたんだ、と思っていたんです。また、好きだった三島由紀夫のエッセイにも、よく横尾さんの名前が出ていた。あるとき、それが同じ人だということに気づいて、それから存在を意識するようになりました。

横尾 僕は作家とのつきあいも多いけれど、親しくなることはめったにないんです。平野さんとは年齢もずいぶん離れているけれど、あまり意識しないで話せますね。

平野 横尾さんの話にはジョン・レノンやダリ、ウォーホルといった有名人も綺羅星のごとく登場するんですが、本で知っているものとは全然違う、横尾さんならではの逸話がたくさんあるんです。絵についてもずいぶんいろいろなことを教えてもらいました。ピカソの何がすごいのかを、電話で一時間も二時間も話し込んだりします。

横尾 平野さんはよく質問されるんです。実は僕は質問されるのが大嫌いなんですよ。質問に対する回答が僕の中にないのに、必死になって探し回らないといけない。でもそうするといつの間にか、自分が今まで考えたことのないようなことを話している。それは相手によって引き出されているんです。平野さんはしゃべり上手だし、聞き上手でもある。彼の好奇心によってこちらが引き出されるんです。

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最終更新:6/10(月) 18:53
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