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【月刊『WiLL』(7月号)より】菅官房長官 訪米の内幕

6/10(月) 12:24配信 有料

WiLL

米国も拉致に目をつけた

 先に訪米した菅官房長官は、ペンス副大統領、ポンペオ国務長官らトランプ政権の中枢メンバーと北朝鮮問題について話し合い、国連本部で日米両国主催の拉致問題シンポジウムに参加しました。
 果たして、拉致問題は解決へ向かうのか。米朝、日米、日朝と三段階に分けて考える必要があります。
 トランプ政権は、北朝鮮の「現状維持」を受け入れています。三月、共和党保守派の年次総会CPACで、トランプ大統領とペンス副大統領はシンガポールでの第一回会談以降、北朝鮮が核・ミサイル実験を止めていることをアピールした。
 そう簡単に非核化交渉が進むはずはないことを、トランプ政権は承知しています。米国本土に届くICBM(大陸間弾道弾)発射や核実験という一線を越えない限り、今後も米朝協議は続くでしょう。
 その証拠に、五月四日と九日、北朝鮮が立て続けに短距離ミサイルを発射した際、トランプ大統領は「金正恩委員長が信頼を裏切ったとは思わない。短距離ミサイルで、ありふれた普通のものだ」と述べた。国連制裁違反の指摘も聞かれましたが、保守系シンクタンクも、米国政府は過剰に反応しないよう忠告しています。
 ただ、来年に大統領選を控えるトランプ大統領は、国内向けに対北関係の前進をもっとアピールする必要がある。目を付けたのが、人権問題です。
 北朝鮮国内の政治犯を収容所から解放することができれば、米国民に強く響く。なぜなら強制収容所は、ナチスのホロコーストを連想させるからです。しかし、金正恩委員長にとって大きなリスクをともなうため、とても受け入れられる話ではない。
 そこで、拉致問題が俎上にのる可能性があります。二〇一六年、米国人大学生のオットー・ワームビア氏が平壌で拘束され、帰国後に亡くなりました。この事件をきっかけに、拉致問題は米国で関心を集め、議会の要請で米国人拉致の疑いに関する調査チームも立ち上げられた。
 北朝鮮にとって、拉致被害者の返還は政治犯の解放よりはリスクが小さいため、食糧支援などを見返りとしたディールが成立し得ます。その後、トランプ政権は非核化議論を行いながら、最終的には経済発展をエサに外国資本を投入し、北朝鮮国内の鉱山を開発できると踏んでいるでしょう。おそらく、トランプ大統領と安倍首相は北朝鮮におけるビジネスの可能性についても、すでに話し合っているはずです。 本文:4,241文字

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渡瀬裕哉(政治アナリスト)

最終更新:6/10(月) 12:24
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