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『キャプテン・マーベル』が示す“公正さ”は表面的な偽りでしかない:映画レヴュー

6/10(月) 18:11配信

WIRED.jp

ノスタルジア満載の展開

一方、ヴァースは任務中にスクラルの部隊に捕まってしまう。フォトンブラストという特殊能力を使って爆発を起こすことで脱出に成功するが、彼女が乗せられていたスクラルの宇宙船はその爆発のせいで故障し、地球に墜落する。そしてこの先はノスタルジア満載の展開だ。

ヴァースがたどり着いた地球は1995年という設定になっている。宇宙船の墜落先は懐かしのレンタルヴィデオ店「ブロックバスター」の屋上で、当然のごとく店内にはヴェデオが山積みだ(1994年のハリウッド映画『トゥルーライズ』の販促ディスプレイが置かれていたりする)。

ほかにも家電量販店「ラジオシャック」や、検索エンジン「AltaVista」、CD-ROM、ポケベルといった90年代を代表するものが登場する。BGMとして流れるのも、ニルヴァーナやハート、R.E.M.といった90年代のロックシーンを代表するバンドの曲が目白押しだ。

ただ、注目すべきはやはり、ブロックバスターに代表される無邪気な時代の映画産業だろう。

『キャプテン・マーベル』はマーベル・シネマティック・ユニヴァース(MCU)の誕生という、いわばビッグバン以前の時代を舞台にしている。そして、キャプテン・マーベルはすべてのゴッドマザーという位置づけだ(なお、タイトルは『キャプテン・マーベル』だが、作品中でヴァースがこの名前で呼ばれることはない)。

キャロル・ダンバースの決意

ヴァースはブロックバスターの外にある駐車場で、S.H.I.E.L.D.のエージェントであるニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン、デジタル技術を駆使して25歳若返った姿で登場する)と接触する。ヴァースはフューリーに自分の特殊能力を見せ、スクラルとの戦いについて説明するが、フューリーは彼女の話を信じない。しかし、ヴァースは最終的に、自分は米空軍の女性パイロットのキャロル・ダンバースだという結論にたどり着く。

キャロルは空軍と米航空宇宙局(NASA)の合同特別チームに所属しており、ここにはウェンディ・ローソン(ベニングの2役)という科学者がいる。ちなみに、キャロルのパイロットとしてのコールサインは「アベンジャー」だ(聞き覚えのある単語ではないだろうか)。

作品には、キャロルのそれまでの人生がフラッシュバックというかたちで挿入される。少女時代にスポーツで悔しい思いをしたことや、軍隊での訓練中に味わった苛立ち。男性にばかにされたこと。記憶を取り戻したことで、彼女は立ち上がって宇宙での巨大な戦いで勝利するという決意を新たにする。

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最終更新:6/10(月) 18:11
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