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『キャプテン・マーベル』が示す“公正さ”は表面的な偽りでしかない:映画レヴュー

6/10(月) 18:11配信

WIRED.jp

この作品が依存する政治的虚構の存在

『アリータ:バトル・エンジェル』と同じように、『キャプテン・マーベル』でも自分は誰なのかという問いには表面的な答えしか提示されない。半分が人間、半分がクリーの戦闘マシンとなったキャロルは、人間だったときの自分については、もがき苦しみながらも女性パイロットとして成長したことしか覚えていないのだ。

つまり、キャロルのキャラクターは、この作品が依存するある種の政治的虚構にうまく収まるように矮小化されてしまっている。『キャプテン・マーベル』がキャロルについて描くのは、彼女が女性でありながら男性たちの嘲りを乗り越えて見事にパイロットになったという事実だけだ(ついでに、正確にはパイロットではなくテストパイロットである。なぜなら、映画でもはっきりと語られているように、当時の米軍では女性兵士が戦闘に加わることは認められていなかったからだ)。

さらに言えば、ヴァースが自分の過去について知るべきことはそれだけなのだ。

キャロルは一方で、長年にわたって続いてきたスクラルとの戦いは誤解に基づいていたことに気づく。スクラルは邪悪な者(彼らのことを「テロリスト」と呼ぶ仲間もいた)ではなく、クリーの侵略のために故国を追われたために、安住の地を探していた(スクラルは自分たちのことを「難民」だと考えている)。

キャロルはこうして、クリーの唱える“正義”とスクラルは敵だという主張に疑問をもつようになり、勝利のためではなくこの争いを終わらせるために、再び戦闘の舞台に戻ろうと決意する。「戦いと嘘」に終止符を打つためだ。

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最終更新:6/10(月) 18:11
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