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スキル習得には1万時間もかからない?もっと効率的に訓練する方法

6/10(月) 23:10配信

ライフハッカー[日本版]

MakeUseOf:マルコム・グラッドウェル氏が広めた「1万時間の法則」は間違いであることがわかりました。以下に、その理由をお伝えしましょう。

【動画】スキル習得には1万時間もかからない?もっと効率的に訓練する方法

2008年にグラッドウェル氏が発表した『天才! 成功する人々の法則』は、ニューヨークタイムズのベストセラーになりました。アンダース・エリクソン氏による研究をベースにした同書に何度も出てくるのが、「成功へのマジックナンバー」として引用されている1万時間の法則です。

同書では、ある対象やスキルに卓越した「天才」たちに注目し、彼らがどうやって天才になったかを紐解こうとしています。

グラッドウェル氏は、彼らの共通項の1つは、自身の領域で練習に費やした時間だと主張しています。天才になるための唯一の方法は、1万時間(1日90分で20年間)以上の練習をすることだと。グラッドウェル氏はまた、その1万時間を「ティッピング・ポイント」とも呼んでいます。こちらの動画をご覧ください(英語)。

彼の本が出てから、1万時間の法則は、生涯学習者、ライフスタイルデザイナー、自己啓発系ブロガーの陳腐な決まり文句になりました。一方で、1万時間の法則はまったくもって正確でないことを示す証拠が続々と出ています。

これは、平均よりちょっと上を目指したい人々にとって朗報です。1万時間の法則は、新しい分野に挑戦したい人に、莫大な努力を強要しているようなもの。

でも、もっと簡単に、熟練に達することができるのです。

1万時間の法則は間違いである

アンダース・エリクソン教授は、フロリダ州立大学で心理学を研究しています。グラッドウェル氏は、エリクソン教授が実施した計画的訓練に関する研究をもとに本を書きました。1万時間の法則はエリクソン教授が提唱したものだという誤解が蔓延していますが、実際の研究結果とは違う使われ方をしているという理由で、教授はそれを否定しています。

(グラッドウェル氏の本は)私たちの研究結果に注目を集めたものの、あまりにも単純化したものです。まるで、ある分野で十分な時間の練習を積めば、誰でも専門家やチャンピオンになれると言っているようなものです。

教授はさらに、それは自分の研究結果が示すものとは違うと明言しています。教授の研究では、成功へのマジックナンバーなどは存在しません。1万時間は、実際に天才たちが練習した時間ではなく、彼らが費やした練習時間の平均でした。つまり、1万時間よりずっと少ない人がいれば、2万5000時間以上も練習した人もいたのです。

グラッドウェル氏の間違いはそれだけではありません。練習時間と練習の質を、きちんと区別できていないのです。これでは、エリクソン教授の研究成果の大部分をカバーできていません。こちらの動画(英語)で、ティム・フェリス氏がグラッドウェル氏の1万時間の法則をこき下ろしているのはそのためです。

エリクソン教授の別の研究では、熟考された非常に具体的な練習方法を使えば、「1万時間のうちのほんの一握りの時間で、ハイレベルな専門的パフォーマンスを習得できる」(このケースでは、長期ワーキングメモリ)ことが示されています。

つまり、練習は重要だけれど、それだけがすべてではないということです。

学術誌『Intelligence』に掲載されたある研究では、「練習がチェスや音楽のパフォーマンスに違いに寄与するのは3分の1程度」とされています。同分野で最大のメタ分析によると、練習が習熟に寄与する割合は12%程度に過ぎないことがわかっています。

要するに、スキルの習得には、何カ月、いや何年にも及ぶ練習だけでは語れない何かがあるはずなのです。遺伝子もその1つかもしれませんが、もっと効率的に学べるためのヒントが、科学によって明らかになっています。

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最終更新:6/10(月) 23:10
ライフハッカー[日本版]

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