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全てのカタチには意味がある~「河森メカアニメの秘密」セミナーレポート

6/11(火) 14:19配信

CGWORLD.jp

主役メカは脇役より何十倍も大変

デザインは「表現スタイルと表現技法」に合わせて変えなければいけない。『超時空要塞マクロス』(1982)のVF-1 バルキリーは手描きアニメゆえにラインを分かりやすく配置したが、『マクロスF』(2008)のVF-25 メサイアは3DCGのため、手描きでは絶対に描けないようなディテールを込めたデザインに仕上がっている。

メディアのちがいによってもデザインの考え方は変化する。『機動警察パトレイバー the Movie』(1989)に登場する攻撃ヘリのヘルハウンドは16:9という映画のスクリーンサイズを意識して、翼を横に大きく広げるというデザインを採用。「前から見ても横から見ても、画面の占有率を上げること」をコンセプトにした。

『アーマード・コア』(1997)はゲームという特性上、プレイヤーはバックビューの視点から操作するため、機体の後ろ姿を見ることが多くなる。そこで後部エンジンを丸くするなど、背後だけで機体を特徴付けられるように意識した。追い抜いたときに後ろ姿を見せつけるというスポーツカーの発想も取り入れて、ゲームに適したデザインをつくり上げていった。

ソニーの「AIBO ERS-220」(2001)はペットロボットだ。実際に遊んでみたときにもち上げにくかったという体験から、胴体に窪みを付けて簡単に運びやすくした。また子どもが指を挟まないように自動開閉機能は極力避けるなど、実用空間に合わせたデザインをつくり上げた。

デザインにキャラクター性を込めることも重要なポイントである。とくに河森監督は主役メカについて「脇役を考えるよりも10倍も20倍も大変」とその難しさを語る。もちろん主役メカは世界観にマッチするようにデザインしなければいけないものの、「合いすぎてしまっても埋没してしまう」のだ。そのため主役には世界観を“ちょっと“壊している程度の違和感が必要になってくる。

例えば『マクロス』ではVF-1のJ型やS型は人の顔にあえて寄せている。それは「リアリティの中に異物を混ぜることで違和感を与えるため」だ。人間は異物があると反応してしまう生き物であって、適切な形で現われればチャームポイントとして活きていく。

ただしキャラ性は理論だけでなく感性も重要となるため、河森監督も試行錯誤を重ねている。その実例として『創聖のアクエリオン』(2005)での頭部デザイン案を公開。数十体もの頭を描き連ねて、どうやって完成形を産み出していったのかという過程を紹介した。

第1部は1時間45分に及ぶ大ボリュームで、Q&Aでも多くの受講者が手を挙げる大盛況となった。最後に河森監督は「作品の言わんとするコンセプトは何なのか。そこまで一歩踏み込んで、ものを感じていく習慣を付けていくこと」が集団創作の手助けになるとメッセージを送った。

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最終更新:6/11(火) 14:19
CGWORLD.jp

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