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「女の子はピンク、男の子はブルー」という固定観念は変化する

6/11(火) 19:11配信

WIRED.jp

5歳児の要求はシンプルだった。おもちゃもピンク、服もピンク、とにかく何でもピンクでなければいやだという。特に珍しい話でもないだろう。

【記事の全写真】固定観念を写真で表現するプロジェクト「The Pink & Blue Project」

しかし、韓国を拠点にする写真家のユン・ジョンミは、当時5歳だった娘が何でも「ピンク色のものがいい」と主張する姿を見て、それは個性の表れというよりは、社会を席巻する消費主義の影響によるものではないかと考えた。子どもをターゲットにした広告の威力を目の当たりにしていた親のひとりとして、ユンは性別によって特定の色に偏った子ども時代を送ることが長期的にどのような影響を及ぼすのだろうと、疑問が湧いたのだ。

ユンが取り組む「The Pink & Blue Project」では、ピンクとブルーというふたつの色がつくる世界を追っている。2005年に始めたプロジェクトの第1弾は、ニューヨークにあるスクール・オブ・ヴィジュアルアーツの修士課程にいたときの企画。ピンクの持ちものに囲まれた女の子とブルーの持ちものに囲まれた男の子が写真に収められている。

博物館の展示室をイメージ

被写体になったのは、ニューヨーク、ソウル、ニュージャージーの街角や地下鉄で出会った子どもたちだ。親の同意を得たうえで家を訪ね、3~8時間ほどかけて部屋に持ちものを並べていった。空間いっぱいにモノで溢れているが、並べ方には美しく見せるためのルールがある。大きなものは後ろ、小さなものは前に置き、衣類はハンガーに掛けるかテープでとめて壁面に並べる。イメージは、コレクションを種類別に分類し丁寧に並べて見せる博物館の展示室だ。

子どもたちの座り位置にも意図がある。被写体である子どもたちをブルーやピンク一色の海に浮かぶ、モノクロの浮標(ブイ)ように見せたかったのだ。「どの子にも、感情を抑えたニュートラルな表情でいるようお願いしています。その子を“客観化”させるためです。あと、いろんなポーズをしてもらって、ジェンダーの違いや一人ひとりの個性が引き立つように意識しています」とユンは語る。

幼い子をモデルにした撮影のため、進めるプロセスも最終的な作品のかたちも必然的に決まっていった。使用した機材はハッセルブラッドの6×6中判カメラ。表情の細部まで捉えることができ、「非常にリアルな絵のような質感」が出せるのだという。

撮影時間は平均して15分から30分ほどだが、幼いモデルたちのために休憩を入れるとさらに時間がかかる場合もあった。ご機嫌ななめの赤ちゃんが相手のときは、使うフィルムの本数も増えたという。

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最終更新:6/11(火) 19:11
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