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年間12万個のプラスチック片を口にしている私たち

6/11(火) 18:38配信

ニューズウィーク日本版

──食事や空気、飲み水からプラスチック片を体内に

私たちは毎年、7万~12万個のマイクロプラスチックを口に入れている──こんなショッキングな数字がこのほど明らかになった。しかもこれは、一部の食べ物に含まれるマイクロプラスチックだけを述べたもので、1日の食事の消費エネルギーに換算した場合、わずか15%相当の食べ物に含まれるものだ。

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調査は、魚、貝類、砂糖、塩、ビール、水、都市部の空気などに含まれるマイクロプラスチックの数を測定した過去の26の研究をもとに、カナダのビクトリア大学の研究者らがマイクロプラスチックのデータベースを作成した上で算出した。結果は米科学誌「エンバイロメンタル・サイエンス&テクノロジー」に掲載されている。

調査によると、人は平均で3万9000~5万2000個のマイクロプラスチックを食事から体内に取り込んでいる。この数は、年齢や性別によって異なり、また米国の食生活をベースに数字を算出しているため、住んでいる場所や食事の内容によっても大きく異なるという。

さらに、呼吸と一緒に吸い込んでいるものまで含めると、体内に入るマイクロプラスチックの数は年間で7万4000~12万1000個にまで上がると考えられている。

■ ボトル入り飲料水9万個、水道水4000個のプラ片

飲み水からも大量のマイクロプラスチックが体内に入っている。昨年8月に本サイトでも取り上げた通り、ボトル入り飲料水にはマイクロプラスチックが含まれていることが分かっている。本調査でも、水分の摂取をボトル入り飲料水だけでまかなった場合、年間で9万個ものマイクロプラスチックを飲み込んでいる計算になるとしている。一方で水道水の場合は、年間4000個だ。

科学系ニュースサイト「サイエンス・アラート」によると、成人男性が1日にボトル入り飲料水だけから水分を摂取した場合、1日349個のマイクロプラスチックを取り入れている計算になる。水道水だけを飲んだ場合は16個だ。

今回の調査は、前述した項目に含まれているマイクロプラスチックだけについて述べたものだ。サイエンス・アラートは、肉、乳製品、穀物(パンを含む)、野菜についてのデータはまだ存在しないため、今回の結果は「おおよその数値でしかない」としている。

調査を率いたキーラン・コックス氏は英ガーディアン紙に対し、調査の対象となっていない食物にも多くのマイクロプラスチックが含まれている可能性は非常に高いとし、「数十万という数字になるかもしれない」と話した。

■ 有毒物質でがん誘発の可能性も

今回の調査は、人はどれだけのマイクロプラスチックを体内に取り込んでいるかについて調べたものであり、人間の体にどんな影響を及ぼすかについては述べられていない。しかしサイエンス・アラートは、マイクロプラスチックが体内に吸収されると有毒な物質を放出するかもしれず、酸化ストレス(酸化反応により引き起こされる、生体に有害な作用)やがんさえも引き起こす可能性があると指摘している。

コックス氏は今回の調査の影響で、自分を含めた調査チームの行動に変化があったとガーディアンに話した。「プラスチックのパックを避けるようになったし、できる限りボトル入り飲料水は飲まないようになった」。さらに、「自分自身でも使い捨てのプラスチックを使わないようにすることや、商品の梱包で脱プラスチックの努力をしている企業をサポートすることは、大きな影響力になる」とコックス氏は述べている。

なお、今回の調査は米国の食生活をベースにした話だが、マイクロプラスチックを体内に取り込むのは世界的な問題であることが分かる調査が、昨年10月に発表されている。オーストリア環境庁はウィーン医科大学と共同で、イタリア、日本、ポーランド、オランダ、ロシア、英国、フィンランド、オーストリアからの参加者8人の大便を分析したところ、すべてのサンプルからマイクロプラスチックが検出された。

松丸さとみ

最終更新:6/11(火) 18:38
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