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MMTが、こんなにも「エリート」に嫌われる理由

6/11(火) 6:00配信

東洋経済オンライン

前回記事「MMT『インフレ制御不能』批判がありえない理由」で、インフレ率との関係をていねいに解説した中野剛志氏。著書『富国と強兵 地政経済学序説』でいち早く日本にMMT(現代貨幣理論)を紹介した同氏が、今回は「そもそも貨幣とは何か」という視点から解説する。

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■MMTはなぜ嫌われているのか

 MMT(現代貨幣理論)は、高インフレでない限り、財政赤字を拡大してよいと主張する。これに対して、主流派経済学者は、「そんなことをしたら、超インフレになる」と激しく批判している。

このように、超インフレの懸念によってMMTを批判するというのは、極端な議論にすぎないことは、別の記事で明らかにしてあるので、ここでは繰り返さない。

 問うべきは、なぜ、このような極端な議論がまかりとおっているかということである。

 日本は、20年という長期のデフレに苦しんでいる。そんな日本が超インフレを懸念して、デフレ下で政府支出の抑制に努めたり、増税を目指したりしている姿は、どう考えても異常である。「インフレ恐怖症」とでも言いたくなるほどだ。

 なぜ、これほどまで極端にインフレが恐れられているのであろうか。

 そして、なぜ、MMTは、こんなに嫌われているのであろうか。

 その理由の根源は、貨幣の理解にある。

 主流派経済学の標準的な教科書は、貨幣について、次のように説明している。

 原始的な社会では、物々交換が行われていたが、そのうちに、何らかの価値をもった「商品」が、便利な交換手段(つまり貨幣)として使われるようになった。その代表的な「商品」が貴金属、とくに金である。これが、貨幣の起源である。

 しかし、金そのものを貨幣とすると、純度や重量など貨幣の価値の確認に手間がかかるので、政府が一定の純度と重量をもった金貨を鋳造するようになる。

 次の段階では、金との交換を義務付けた兌換(だかん)紙幣を発行するようになる。こうして、政府発行の紙幣が標準的な貨幣となる。

最終的には、金との交換による価値の保証も不要になり、紙幣は、不換紙幣となる。それでも、交換の際に皆が受け取り続ける限り、紙幣には価値があり、貨幣としての役割を果たす(N・グレゴリー・マンキュー『マンキューマクロ経済学I入門篇【第3版】』110~112ページ)。

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最終更新:6/11(火) 6:00
東洋経済オンライン

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