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MMTが、こんなにも「エリート」に嫌われる理由

6/11(火) 6:00配信

東洋経済オンライン

 それゆえ、内乱などで無政府状態に陥った国家では、政府の徴税権力も弱体化するから、通貨はその価値を失い、超インフレに見舞われる。逆に言えば、政府権力が正常に機能していれば、戦争や石油危機のような有事でもない限り、インフレが制御不能になるなどということはありえない。

 政府が徴税権力を強めれば(緊縮財政)、納税という通貨の需要が増えるので、人々はモノよりもカネを欲しがるようになる。その結果、通貨の価値が上昇(物価が下落)する。つまり、増税は、デフレ圧力を発生させるのだ。

 反対に、政府が徴税権力を緩めれば(拡張財政)、納税という通貨の需要は減るので、通貨の価値が下落(物価が上昇)する。減税は、インフレ圧力を発生させるのである。

 こうして、政府は、財政を拡張させたり、緊縮させたりすることによって、物価を上下させることができる。財政政策とは、物価調整という機能をもつ金融政策でもあるのだ。

■貨幣に関する無知が招く「インフレ恐怖症」

 さて、主流派経済学は、依然として「商品貨幣論」という誤った貨幣論に立脚している。

 実は、この誤った貨幣論こそが、「インフレ恐怖症」の原因なのである。

 改めて説明すると、「商品貨幣論」は、金などの貴金属のような、それ自体に価値がある商品が貨幣の価値を裏付けていると考えている。

 かつて、金本位制の下においては、通貨には、金との兌換が義務付けられていた。各国政府が発行する通貨の価値は、金という商品によって担保されていたのである。

 しかし、現代の通貨は、金との兌換が保証されていない「不換通貨」が一般的になっている。このことを、主流派経済学は「商品貨幣論」によってどう説明するのか。

 すでに述べたように、主流派経済学は、「他人が受け取ることがわかっているから、誰もが不換通貨を受け取るのだ」と説明している。つまり、「みんながお金がお金だと思っているから、みんながお金をお金だと思って使っている」という苦し紛れの循環論法である。

 もし、この説が正しいとすると、通貨の価値は、「みんなが通貨としての価値があると信じ込んでいる」という極めて頼りない大衆心理によって担保されているということになる。

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最終更新:6/11(火) 6:00
東洋経済オンライン

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