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MMTが、こんなにも「エリート」に嫌われる理由

6/11(火) 6:00配信

東洋経済オンライン

 しかし、もし人々が一斉に通貨の価値を疑い始めてしまったら、通貨はその価値を一瞬にして失ってしまうだろう。紙幣は、単なる紙切れとなってしまうのだ。これが、通貨価値の暴落、すなわちハイパーインフレである。

 主流派経済学者が、なぜインフレを極端に恐れているのか、もうおわかりだろう。「もし、人々が通貨に対する信認を失い、通貨の価値を保証するものがなくなってしまったら、どうしよう」と不安で仕方がないのだ。

 要するに、主流派経済学者は、それ自体に商品価値がないはずの不換通貨が、なぜ通貨として流通しているのかについて、本当のところをわかっていないのだ。だから、通貨の価値が失われることを極端に恐れているのである。

 「インフレ恐怖症」の原因は、貨幣に関する無知にある。

 そうであるならば、主流派経済学者は、MMTの正しい貨幣論を受け入れればよいではないかと思われるかもしれない。

 それが、残念ながら、そう簡単にはいかないのである。

 なぜなら、MMTは「通貨の価値を保証するのは、政府の徴税権力である」という理論である。

 国民主権である民主国家においては、政府の徴税権力の根源は民主政治にある。わが国でも、憲法第83条において、国会が予算や税を議決する「財政民主主義」を定めている。

 このように、現代民主国家においては、通貨の価値を保証するのは「徴税権力=民主政治」である。したがって、民主政治は、貨幣価値(物価)を調整するうえで、決定的に重要な役割を担うこととなる。

 しかし、このような結論は、主流派経済学者には、とうてい受け入れられるものではない。

 なぜならば、民主政治は、民意や政治的な利害調整によって決まるものである。そのような恣意的・裁量的な民主政治が財政を決め、物価の調整に深く関与することを、主流派経済学は極端に恐れるのである。

 だから、主流派経済学者は、財政規律を重視し、民主政治による財政権力に制限を加えようとする。そして、物価の調整機能は、民主政治ではなく、中央銀行に委ねるべきだとする。主流派経済学者は「中央銀行の独立性」を強調するが、それは、民主政治からの「独立性」を意味しているのだ。

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最終更新:6/11(火) 6:00
東洋経済オンライン

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