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鉄道の街・沼津は「停車時間の長さ」で発展した

6/11(火) 5:20配信

東洋経済オンライン

 人気アニメ「ラブライブ! サンシャイン!!」劇場版の公開を目前に控えた2018年末、静岡県沼津市に多くの“聖地巡礼者”が詰めかけた。

【写真】かつて蛇松線の蛇松駅があったと思われる場所には、腕木式信号機や動輪が保存されている

 この作品の主な舞台は沼津市や伊豆の国市など。駅前の商店街にはキャラクターのイラストが描かれたマンホールなどが設置されている。

 アニメとコラボすることで観光客誘致に力を入れる沼津だが、もともとは鉄道の街であり、作中にも沼津駅南口広場に保存されたSLの煙室扉や動輪が登場する。沼津駅北口から徒歩3分の場所にある高沢公園内には御殿場線などで活躍したSLのD52形も保存されており、沼津が鉄道の街であることを感じさせる。

■東海道線建設の要衝に

 1872年、わが国最初の鉄道が新橋駅(後の汐留駅、現・廃駅)―横浜駅(現・桜木町駅)間で開業。これが日本の大動脈を担う東海道本線の源流になる。

 財政難を理由に鉄道建設は順調には進まなかったが、苦しい財政事情の中、1874年には大阪駅―神戸駅間が開業。西側からの建設スピードは凄まじく、東海道本線は大阪側から東へとどんどん伸びていった。

 一方、東京側からの建設は遅れていた。政府は東海道本線の工事を進めるにあたり、沼津・清水・武豊の3港に建設資材を輸送。1888年、沼津港からの資材を運搬するための路線「蛇松線」を敷設した。

 蛇松線の敷設は、いわば東海道本線建設の布石だった。建設資材は蛇松線で港から沼津駅へ運搬された。こうして、沼津駅は東海道本線を建設するベースとして要衝地化していく。沼津駅から東海道本線は西へ西へと伸びていくが、他方で東の国府津駅への線路建設も沼津側から進められた。

 蛇松線によって東海道本線は順調に建設が進み、1889年には新橋駅―沼津駅が1本の線路でつながった。沼津駅も開業し、沼津の街に大きな変化が生じる。

 今でこそ国府津駅から熱海、そして沼津駅へと一直線に東海道本線が駆けていくが、当時は技術が未発達だったことから熱海駅―函南駅を結ぶ長大な丹那トンネルを掘削できなかった。そのため、当時建設されたのは現在の御殿場線にあたる路線だった。国府津―沼津間は全区間にわたり急勾配が続くため、列車には補助機関車が必要だった。

 補助機関車は国府津駅と沼津駅で連結・切り離しするため、両駅には機関区が設置された。とりわけ沼津機関庫(後に沼津機関区へと改称)は重要な機関区として扱われ、最新鋭の機関車が配置された。

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最終更新:6/11(火) 19:52
東洋経済オンライン

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