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上原浩治は素晴らしい指導者になれます/デーブ大久保コラム

6/12(水) 11:00配信

週刊ベースボールONLINE

 すぐにでもコーチになれる存在だと思います。それぐらいの広い視野を持ち、俯瞰(ふかん)的に物事を見られる人間だと思いましたね。上原浩治のことです。先日5月20日に引退を表明し会見を行いました。

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 その会見前の段階での報道によると「自分の代わりに若手にチャンスを与えてほしい」と言ったということが出ました。これには、“さすがだなあ”と思いましたし、浩治は二軍で調整を続ける中で、いかに若手にはチャンスがないのか、ということを実感したのではないか、とも思うんです。

 二軍は若手に実戦のチャンスを与える場所ではあることは事実です。しかし、その中でも優先的にそのチャンスをもらい続ける選手というのは、限られているのです。そういう選手は基本的にドラフト上位の選手たちです。彼らを重点的にまず育成していく。これはどの球団でも同じで、仕方のないことです。

 その次には、一軍で故障をしてしまい復帰に向け実戦感覚を取り戻すために、一軍クラスの投手も投げます。実戦というのは本当に限られています。その中で、ピッチャーに1イニングを与えることは非常に大きなことなんです。打者は1試合27個のアウト分を割って考えることもできるので、打席に立てるチャンスをつくるのはそう難しいわけではない。一方、投手は9イニングの試合の中で、1人に投げるということはほとんどありません。短くても1イニングです。そうなると多くいる投手陣の中で、チャンスをもらえるのはごくわずか。もし浩治のような大ベテランのような中継ぎがいた場合には、そちらが優先されてしまいます。

 もしかしたら、その1イニングをもらいチャンスをつかむ若い投手が出てくるかもしれない、と浩治はそういうふうに思ったのだと思います。こういう気づかいができる人は指導者に向いていると思います。

 それにメジャーで頂点まで極めた男ですから、お金にも余裕があるはず。前にもお話をしましたが、そういう人ほど指導者として「選手のために」、「選手に向き合って」いける指導者になるはずです。

 あと、なぜこの時期に引退したのか。それはメジャーでは当たり前のことだからだと思います。そういう感覚に慣れているからこそ、この時期にさっとやめられたのだと思います。終盤になってからの引退だとチームに迷惑が掛かるから、などと言われていますが、そういう感覚がなければ、この時期にスパッとやめられないと思いますね。

 上原浩治という投手は、常にリズム感のある投球をしていました。すごく早い間合いでしたよね。これは自分の投球に自信があり、試合のプランが立てられているから。1球1球考えていたら、あのような投球リズムは生まれません。だからこそ球界のエースであったし、子どもがあこがれるヒーローでした。現役生活お疲れ様でした。

PROFILE
大久保博元/おおくぼ・ひろもと●1967年2月1日生まれ。茨城県出身。水戸商高から85年ドラフト1位で西武に入団。トレードで巨人入りした92年に15本塁打。95年現役引退。野球解説者やタレントを経て、2008年に西武コーチに就任し日本一に貢献。12年からは楽天打撃コーチ、二軍監督を経て15年に一軍監督に就任した。15年限りで辞任し、16年から野球解説者をこなしながら新橋に居酒屋「肉蔵でーぶ」を経営している。

週刊ベースボール

最終更新:6/24(月) 11:17
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