ここから本文です

少子化対策先進国フランスで出生率が3年連続低下した理由

6/12(水) 11:18配信

日経BizGate

3年連続で低下したフランスの出生率

 フランスは、少子化対策の成果の出た先進国として広く知られている。2018年1月、そのフランスの出生率が3年連続で低下したというニュースが話題になった。2018年1月1日現在、フランスの人口は6718万人だった。前年比較、自然増(出生数と死亡数の差がプラス)が16.4万人、社会増(移民純増)が7.9万人と推計されている。自然増が続いているが、この増加分は、史上最低の水準となった。

 2017年中に生まれた赤ちゃんの数は72.4万人で、前年比2万人減った。2017年の出生率は3年連続で減少し、2016年の1.92から1.88となった。地域別にみると、出生率が1.8より低いのはパリ市や南西部のボルドー地方の一部とコルシカ島で、2.1より高いのは、パリ市周辺部、ローヌ地方の一部、他の海外領だけであった。

 2006年以降、フランスの出生率は2.00前後で推移してきた。先進国で出生率2.00をキープしている国は少ない。2016年に、OECD加盟国で2.0を超していたのはイスラエル(3.11)、メキシコ(2.18)、トルコ(2.05)の3カ国のみだった。そのため、フランスは少子化対策の優等生といわれてきた。

 しかし、2017年には1.88と、2002年並みに逆戻りしてしまった。フランスは、2008年の経済危機以降も出生率の高さを誇っていたことから、この結果は「フランスも例外ではなくなった」と受け止められている。

 3年連続で低下したといっても1.88と、日本で政府のいう「希望出生率」の1.8をさらに上回り、日本では1975年(1.91)以来記録していない高いレベルではある(もちろん、実人数でいえば、日本は全体の人口が多い分、赤ちゃんの数も多い)。「1.8」がどういう感覚かというと、女性5人組を思い浮かべてほしい。1人は、産まないと決めたシングル派。残り4人が全員2人ずつ産んだとしても、5人の平均を取れば、子ども8人対女性5人なので、8÷5=1.6となる。逆算すれば、1.8×5=9、9人の子どもを4人で産めば1.8が達成できる。女性3人が2人ずつ産み、1人が3人産めば、2×3+3×1=9人となる。

 この計算を聞いて、「あ、それなら簡単」と思うか、「到底無理」と思うか。筆者は「到底無理」派だ。1.6だって「相当すごい」というのが、自分の周りの30~40代をみて感じるところである。

 いずれにしても、フランスの出生率は日本の1.43と比較して0.45も大きい。5人組の女性に換算すると、子どもが約7.1人なのが日本、約9.4人なのがフランスということになる。3年連続で減少したといっても、この水準のことをいっているわけである。

 出生率を年齢階層別にみると、20代前半まで(15~24歳)0.25、20代後半から30代前半まで(25~34歳)1.19、30代後半から40代(35~49歳)0.4となっている。全体の出生率が最高の2.03だった2010年と比較すると、全体では93%に減っているのだが、15~24歳が78%、25~34歳が92%、35~49歳は110%と、若い世代ほど落ち込みが大きい。20代から産み始めるよりも、30歳前後から産み始める傾向が強まり、全体として、晩産化が進んでいることがはっきりと出る結果となった。

 初産の平均年齢は1970年前後には24歳だったのが、2010年時点で28.1歳になっている。いかに経済的な子育て支援策や母親の育児負担軽減策が充実していても、1人目を産む時期が遅くなれば、どうしても2人目、3人目に進みにくくなるのは洋の東西を問わない。産み始めが遅くなると生涯に持つ子どもの数が減ってしまうのは、なかなか避けられない。

1/3ページ

最終更新:6/12(水) 11:29
日経BizGate

記事提供社からのご案内(外部サイト)

・ビジネス上の「課題解決の扉」を開く!
・経営、人事、マーケティングからITまで
・専門家の知見や洞察に富んだコラム満載
・経営層、管理職層の悩みにも応えます

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事