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南極で巨大な首長竜の化石を発見、グループで最重量

6/12(水) 7:12配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

体重15トン、大量絶滅の寸前まで海は豊かだったか

 南極半島に近い小さな島で、巨大な首長竜の化石が発掘された。エラスモサウルスの仲間で、このグループで史上最重量という。

ギャラリー:奇跡の恐竜化石、世紀の大発見 写真18点

 何十年も悪天候と格闘したすえに、ようやく掘り出された今回のエラスモサウルスは、生きていたときには15トン近くの体重があったと見られる。しかも、南極で発見された古代の爬虫類では、最も完全な形に近いものの1つだ。5月17日付けの学術誌「Cretaceous Research」に研究成果が発表された。

 エラスモサウルス科は首長竜の1グループ。首長竜は恐竜時代の海に暮らした爬虫類で、一般に、キリンのような首とヘビのような頭、体には4つのヒレをもつ。

 調査チームは、今回新しく発見された化石はアリストネクテス属ではないかと考えている。この属は、エラスモサウルス科の中でもかなりの変わり者として扱われてきた。というのも、米国で発見されているエラスモサウルスとあまりに異なるからだ。アリストネクテス属は南半球で発見されており、短めの首と、大きめの頭骨が特徴だ。

「アリストネクテスがエラスモサウルスなのかそうでないのか……長年、謎でした」と話すのは、今回の論文の著者で、アルゼンチン国立科学技術研究会議(CONICET)の古生物学者、ホセ・オゴルマン氏だ。同氏はブエノスアイレス近郊のラプラタ博物館を拠点としている。「誰にもわからない、変わった首長竜だったんです」

 その答えを知るためには、もっと完全な標本が必要だった。米国パデュー大学のウィリアム・ジンスマイスター氏は、その候補となる化石を1989年に発見していた。南極半島北端のやや南に位置するシーモア島に遠征したときのことだ。だが彼には当時、その化石を発掘するための資金がなかった。そこで、アルゼンチンの研究者たちに発見を知らせたのだ。

南極での発掘作業は難航

 知らせを受けたアルゼンチン南極研究所は、毎夏行っている遠征調査の一環として発掘を開始した。しかし、天候や物資調達の困難ゆえに、作業は遅々として進まなかった。

 化石発見当時5歳だったオゴルマン氏は、2012年に初めてこの遠征に参加した。作業は1月から2月上旬の数週間しか行うことができず、しかも気象状況や資金不足のせいで発掘がまったく行われない年もあった。作業ができたとしても、発掘するには凍った土が太陽の熱で解けるまで待たなければならず、なんとか掘り出した化石はすべて、数キロ離れたアルゼンチンの観測基地であるマランビオ基地までヘリコプターで運ぶ必要があった。

「問題の1つは天候です。天候はすべてに影響します。ある日作業が可能だったとしても、翌日には吹雪でまったくできなかったりします」とオゴルマン氏は話す。

「通常よりも多くの努力と物資輸送が必要ですし、そもそもこのような化石を発見するのには運も必要です」と同意するのは、オランダ、ユトレヒト大学の古脊椎生物学者、アンヌ・シュルプ氏だ。同氏は今回の調査には関わっていない。

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