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誰が東京五輪を2度楽しむか~戦後、長寿化はどれほど進んだか

6/12(水) 12:09配信

政治山

国民皆保険の制度が長寿化に寄与

実際、日本の長寿化は世界のなかでも群を抜く。平均寿命が男女とも主要国1,2位を争う水準にあるだけでなく、長寿化のスピードが著しく速かった(参考2参照)。

実は、1965年当時の女性の平均寿命は、主要国で最も短かった。男性も、主要国中、中位の部類でしかなかった。それが、その後の20年ほどで一気にトップクラスに駆け上がった。その速さは桁違いである。

これには、いろいろな理由が指摘されている。しかし、なんといっても、国民皆保険制度の存在が大きいだろう。「いつでも、どこでも、誰でも」医療を受けることのできる制度が、国民の長寿化に貢献した。その傍証は米国である。国民皆保険の制度を採りいれてこなかった米国は、主要国のなかでも長寿化のスピードが断然遅い

長生きにはコストがかかる

しかし、長寿を維持するには、かなりのコストがかかる。医療費や介護費だけではない。老後の生活費も嵩む。想定以上に長生きすれば、老後の生活費は一挙に足らなくなる可能性がある。

年金は、本来、そうした長生きリスクに対応するための「保険」である。実際、国に納付するのは「国民年金保険料」と呼ばれる。しかし、長寿化の進行にあわせ、弾力的に制度を見直してこなかったために、制度の持続性が危ぶまれる。

そもそも国民年金が導入された1961年当時の寿命中位数(出生者のうち半数が生存すると期待される年数)は、男性70年程度、女性74年程度だった。すなわち、寿命中位数は、受給開始年齢の65歳を優に上回っていた。したがって、当初から、国民の過半が年金給付を受けられる計算だったはずだ。

しかし、長生きリスクに対応するための「保険」を、これほどの多くの人数に給付しようとすれば、制度の設計は必ずしも容易でない。ましてや、老後の生活費を一定程度賄えるだけの給付額にしようとすれば、設計はなおさら難しい。実際には、多くの子どもが生まれ続け、保険料を納める人が増え続けることを前提に、設計された可能性が高い。

しかし、現実は逆だった。長寿化のうえに、少子化が進んだ。前回東京五輪時に比べ、小学生は4割弱減り、中学生は5割減少している。これでは、保険料を納める人と給付を受ける人のバランスは崩れ、財政にツケが回るのも当然である。制度の抜本改革がなければ、財政赤字を通じて子や孫の世代への負担転嫁が避けられない。

解決策はひとつしかない。長寿の恩恵を受けた分、一人一人が長く働いて、極力、保険料を納める側に回ることだ。

長生きは国の豊かさの象徴である。これを維持するには、勤労をもって長寿の恩恵に報いるしかないはずである。

     ◇

[末尾脚注]
長寿化がなかった場合の高齢者数(2020年時点)の試算方法(一部推計を含む):

誕生年の「完全生命表」を基に、男女別に、死亡率を0歳から2020年の到達年齢まで積み上げる(1950年生まれであれば2020年70歳まで死亡率を積み上げ)。
1を基に、2020年到達年齢での死亡確率と生存確率(=1-死亡確率)を計算する。
これを各年の出生数(一部推計を含む)に乗じて、2020年時点の推定人口を試算する。

<オフィス金融経済イニシアティブ>

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最終更新:6/12(水) 12:09
政治山

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