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奇妙な新種ワニの化石を発見、こんな顔でも雑食だった?

6/12(水) 17:25配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

9600万年前、古代のワニの多様性を示す貴重な例、北米

 9600万年ほど前、現在のテキサス州ダラス郊外は緑豊かな三角州の一部だった。そこにはカメ、恐竜、魚類のほか、いまのワニによく似た姿をしながらも、食性はオポッサム(フクロネズミ)のような雑食という、奇妙な生きものが暮らしていた。

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 そんな古代のワニを発見したという論文が、6月7日付けの学術誌「The Anatomical Record」に発表された。現代のクロコダイルやアリゲーターも含む「クロコダイル型類(crocodyliform)」の新種で、Scolomastax sahlsteiniと命名された。

 体長は90センチから180センチほどまで成長し、右下顎の形状からは、ほかのワニ類と比べて歯の数が少なかったことがわかる。また、いくつかの異なる形の歯を持っていたようだ。

 こうした特徴は、硬い食べものを噛み砕いたり、さまざまなものを食べたりする動物に見られる。つまり、彼らは雑食だったようだ。一方、現代のワニの仲間は肉食で、水辺で獲物に待ち伏せ攻撃を仕掛けることを得意とする。

「彼らはどうやら、現代のワニの仲間には見られない特徴を持っていたようです」。論文の筆頭著者である米ウィスコンシン大学パークサイド校の古生物学者クリストファー・ノト氏はそう語る。「現生のクロコダイルやアリゲーターは“生きた化石”ではありません。単に生き延びたものたちです。古代に生きていた仲間が持っていた多様なライフスタイルのうち、ごく一部しか彼らは体現していないのです」

「記録の大きな空白を埋めてくれます」

 奇妙なワニの化石が見つかったのは、テキサス州のアーリントン主竜類発掘現場(AAS)と呼ばれる場所だ。産出する化石の年代はおよそ9600万年前の白亜紀で、当時は広大な海路がカナダ西部からメキシコ湾まで延び、北米は、西側のララミディア、東側のアパラチアというふたつの大陸に分断されていた。

 見事な角竜類が産出するユタ州の現場をはじめ、北米にある白亜紀の化石発掘現場の多くはララミディア大陸のものだ。対してAASは、かつてアパラチア大陸の河川デルタだった場所であり、これは極めて珍しい。

 また、Scolomastaxは、アジアで化石が見つかるParalligatoridaeという科に属している。Scolomastaxはアパラチア大陸の地層から初めて見つかった同科の生物だ。この事実は、海面の上昇によって北米が二分される前の白亜紀初期に、アジアと北米の動物たちが共存していたという説を裏付けている。

「アーリントン主竜類発掘現場のすばらしいところは、これまであまり多くの化石が見つかっていない時代と場所の地層であることです」と、論文の共著者でテネシー大学の古生物学者ステファニー・ドラムヘラー=ホートン氏は言う。「アパラチア大陸にはまだ謎が多く、この現場で見つかるものは何であれ、記録の大きな空白を埋めてくれます」

 AASは2003年、テキサス大学アーリントン校の大学院生だったデレク・メイン氏らのグループによって発見された。

 もしあなたがこの場所を、映画『ジュラシック・パーク』に出てくるような、荒涼とした化石発掘現場として思い描いているなら、期待を大きく裏切られるだろう。ここはテキサス州アーリントンの大規模な計画都市「ビリジアン」の中に位置している。

「この現場のおもしろいところは、目の前に化石が出る壁があっても、くるりと後ろを向けば、遠くにダラス・カウボーイズのフットボール・スタジアムが見えることです」と、ドラムヘラー=ホートン氏は言う。

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