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映画『長いお別れ』――「家族って良いよね」それを伝えたい    中野量太

6/12(水) 13:33配信

創

残された人がどう生きるのかを描きたい

中野 実は小説は最初に読んだだけなんです。原作を一旦自分のフィルターを通して一から脚本を書くつもりでした。中島さんからは自由にやっていいと言われたけど、とはいえ最初に中島さんに読んでもらう時は、こんなに変えちゃって怒られるんじゃないかとすごく恐かったです(笑)。でも実際は「面白い」と褒めていただいて、すごく嬉しかったですね。ただ、ラストシーンは決めてました。それは最初に本を読んだ時に、あのラストがすごくいいなと思ったからです。普通の映画って主要人物で終わるんですよ。でもこの物語は母親の曜子でもなく、娘の芙美でもなく、孫の崇のシーンで終わる。そこに未来が見えるからです。あとは映像的な要素として、読書家のお父さんが葉っぱを本の栞にしていた習慣が、娘に、そして孫に受け継がれている場面を最後に入れて、家族が巡っているということを伝えています。

 前作『湯を沸かすほどの熱い愛』もそうだったが、今作でも人が死ぬ場面は描かれていない。

中野 生きることを描こうとする時、死は生の真逆ではなく、隣に寄り添っているものなんです。だから死の瞬間をあえて描く必要はなくて、もっと言うと、残された人がどう生きるのかを描きたい。だからこれまでも死の瞬間を描いたことはないですね。

 中野監督は今後も家族というテーマにこだわっていくのだろうか。

中野 絶対とは言えないですが、家族を描くのは好きだし、そこは負けないと思うのでまたやるでしょうね。家族に決まりなんてないから、全く別の形の家族になると思います。

取材・構成:加藤梅造[LOFT]

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最終更新:6/12(水) 15:01

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