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米国で加速する「顔認識技術」のルールなき利用は、すでに“臨界点”を超えている

6/12(水) 12:12配信

WIRED.jp

顔認識で狭まるリアルタイム包囲網

公聴会では、参考人たちが同様の主張をした。ここで強調されたのは、顔認識技術が単なる静的なデータベースではなく、全面的かつ無差別的なリアルタイム包囲網として利用されるようになってきているという事実である。要するに「顔の監視」が実施されているというのだ。そして顔認識技術に重大な欠陥(特に有色人種や女性、従来の性別に当てはまらない人々を識別する際の正確性に関する問題)があることを踏まえると、当面は法執行機関は顔認識技術を使用するべきではないと主張している。

マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者で、アルゴリズムのバイアスについて調査研究して民間に注意喚起を促す機関「Algorithmic Justice League」を立ち上げたジョイ・バオラムウィーニは、ほとんどの顔認識システムのトレーニングに使われるデータセットを「ペイル・メイル(pale male)」セットと呼んでいる。大多数の写真データが白人男性のものであるためだ。

「ちょうど今週も、(おそらく)顔認識の誤認によってドライヴァー登録を停止させられたとして、ある男性がUberに訴訟を起こしました」と、バオラムウィーニは下院監視・改革委員会の公聴会で語った。「ブルックリンで賃貸物件を借りている人々は、不要な顔認識入退室システムの導入に抗議しています。最新の調査によると、医療目的で利用される顔認識技術にもバイアスがかかっていることがわかっています。さらに、顔認識技術は学校にも販売されています。わたしたちに残された最後のプライヴァシーが、いま侵されようとしているのです」

2019年がターニングポイントになる

各政党の代表者たちが語ったところによれば、委員会は法執行機関およびそのほかの米国機関による顔認識技術の利用を監督・制限する超党的な法案を用意する構えだ。しかしここ数年、国家レヴェルで明確な成果が上げられたためしはない。

また、民間に規制意識を広めることについても、大きなハードルが存在する。例えば、5月22日にはアマゾンの株主総会で、同社の顔認識ソフトウェア「Rekognition」に関する議論があった。しかし、政府機関への提供の制限と、プライヴァシー権と公民権に関する調査の受け入れに関する要求は、いずれも却下された。

顔認識があらゆる場所にその触手を伸ばしていることが明らかになってきているが、プライヴァシー擁護派は2019年がターニングポイントとなる可能性があるとみている。

「顔認識技術の拡散そのものを止めるにはもう手遅れでしょう。政府も民間企業も日々、新たな方法で利用を進めていますから」と、イェール大学ロースクールの情報社会プロジェクトに所属するプライヴァシー専門弁護士のティファニー・リーは語る。「プライヴァシー関連の諸問題について真剣な取り組みが始まる決定的なポイントが来ることを願っています。もしかすると、いまがその時なのかもしれません」

LILY HAY NEWMAN

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最終更新:6/12(水) 12:12
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