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Amazonのアルゴリズムは、こうして「ディストピアな書店」をつくりだす

6/12(水) 12:32配信

WIRED.jp

米国のAmazon.comでは、反ワクチン派の本が「ベストセラー」としてランクインしている。ワクチン推進派の医師による書籍はレヴュー欄で攻撃を受けるなど、組織的な影響力が行使されている疑いがある。わたしたちがアルゴリズムによるキュレーションに依存するにつれ、その結果が新たな関心やソーシャルグループの形成に影響を及ぼす。そしてニセ情報はわたしたちの健康にまで影響してくるのではないか──。セキュリティ研究者のレネー・ディレスタによる考察。

善悪を判断できないアルゴリズム

米国の「Amazon.com」の「Epidemiology(疫学)」カテゴリーのベストセラーには、反ワクチンの学術書が何冊か含まれている。そのうち1冊は、表紙に自信ありげな医師の姿が載っているが、その本の著者はMD(医学博士号)をもっていない。

簡単にGoogle検索してみると、彼は「ThinkTwice Global Vaccine Institute」のメディカルジャーナリストであることがわかった。Amazonの「本」セクションで「vaccine(ワクチン)」で検索してみるとわかるが、小児救急や医学史、化学をはじめとするさまざまなカテゴリーで、反ワクチン派の本が「ベストセラー第1位」と大々的に表示されている。

親ワクチン派の本がリストに初めて顔を出すのは第12位だ。『Vaccines Did Not Cause Rachel’s Autism(レイチェルの自閉症の原因はワクチンではなかった)』というストレートなタイトルのこの本は、検索結果の最初のページに表示される、唯一の親ワクチン派の本である。

この本の著者であるピーター・ホテスは、ベイラー医科大学で小児科学と分子ウイルス学・微生物学を研究する教授だ。ホテスは同書の発売以来、罵倒や、Amazonのレヴュー欄で展開されるブリゲイディング[編註:特定の商品や作品に対する評価を人為的に操作するため、多数のユーザーにレヴュー投稿を呼びかける行為]との交戦を余儀なくされ、その戦いについて何度もツイートしてきた。

Amazonの「Oncology(腫瘍学)」カテゴリーで「ベストセラー」となっているある本では、化学療法に代わる手段としてジュースが薦められている。カテゴリーを特定せずに「cancer(がん)」で検索してみると、ブリゲイディングが功を奏してか、政府の陰謀などに関する主張を寄せ集めた本『The Truth About Cancer(がんの真実)』が1,684件(2019年3月5日現在)のレヴューを集めて、フロントページの好位置を確保している。驚くことに、そのレヴューの96パーセントが5つ星だ。

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最終更新:6/12(水) 12:32
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