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老後資金2000万円で物議…金融庁が推す「投資信託」の実態

6/12(水) 12:06配信

幻冬舎ゴールドオンライン

老後資金として2000万円の自助努力が必要、とも読める内容で物議を醸している金融庁の報告書。麻生太郎金融担当相は6月11日、「正式な報告書として受け取らない」と述べており、異例の「出し直し」となる可能性もありますが、金融庁という公的機関が「長期的な資産形成の必要性」を掲げたのは事実です。そして、具体策の一つとして示されているのが「投資信託」の活用ですが、日本の場合、その利用実態にも見逃せない問題があります。この記事では、アメリカの状況とも比較しながら、投資信託の正しい利用法について改めて考えていきます。

投資信託の「満足度」が「非常に低い」日本

今回の金融庁の報告書「高齢社会における資産形成・管理」では、ライフステージを通じた資産形成における「長期・積立・分散投資」の有効性について述べるとともに、具体的な資産形成の手段として、税制面で一定の優遇措置がある「つみたてNISA」と「iDeco」を取り上げています。iDecoについては預貯金なども対象とするものの、基本的にはいずれも「投資信託」の利用を念頭に置いた制度です。

実際、投資信託は世界中で活用されている運用商品の一つです。主なメリットとしては、次のようなものがあります。

・運用のプロ(ファンドマネージャー)が運用

・分散投資でリスクを軽減できる

・個人では投資しにくい国や地域、資産に投資できる

・少額から投資が始められる

しかし実情としては、なかなか日本には投資信託の利用が定着していません。それはなぜでしょうか。

日本での投資信託の利用は、102兆6,319億円(2017/8末)です。家計資産全体の5.6%で、米国(20兆3,775億ドル(2017/6末))の25.4%の5分の1です。なぜ、利用が進んでいないのでしょうか? 投資信託に関するアンケート(以下、一般社団法人投資信託協会「投資信託に関するアンケート調査報告書2015年」から抜粋)では、約70%の投資家が満足していないという結果になっています。

・「期待どおり」「期待以上」・・・ 16.9%
・「期待以下」「全く期待はずれ」「なんともいえない」・・・ 72.2%

そして、日本で投資信託を購入する場合、約80%の人が証券会社、銀行の店頭から購入しています。

●投資信託購入のきっかけは?

 1位 証券会社や銀行からの勧誘

●投資信託の購入先は?

・証券会社の店頭 37.7%

・銀行の店頭 41.1%

要は、約80%の人が証券会社、銀行の店頭から購入し、約70%の人が投資信託の成果に満足していないのが現状なのです。なぜこうなってしまうのでしょう。次のような、投資信託のセールスを受けたことはないでしょうか。

・テーマ型、毎月分配型ファンドを強く勧誘してくる

・人気ランキングリストを使って上位のファンドを勧誘してくる

・複数の投資信託に分散投資せず、1本の商品を勧誘してくる

・商品内容が複雑で理解できない商品を勧誘してくる

・新規設定された投資信託を積極的に勧誘してくる

・系列の運用会社の商品ばかり勧誘してくる

・コストの高いファンドラップを積極的に勧誘してくる

これらを見るとわかるように、日本の投資信託の販売・購入の現場では、投資家が何のために、何を期待して(どのくらいのリスク・リターンを想定して)投資信託を選ぶ(腹落ちして投資する)のか、というプロセスが決定的に欠如しています。

既存の金融機関からすれば、かつての本業(融資関連等)収益の目減りの穴埋めに、投資信託の販売収益は非常に大きいものがありますので、上記のプロセスよりは、販売手数料重視の営業目標で動いています。表層的なニーズヒアリングは行いますが、結果的に商品も「テーマ型」「毎月分配」など、お勧めしやすい商品が売れ筋になり、一括での購入を勧め、値下がりしたあとは、「リスク商品ですから・・・」の一言。これでは、自ら考え、選び、腹落ちするというプロセスは生まれようがありません。

本来、「おカネに働いてもらう」投資運用を行い、初心者でもプロの力を借りてニーズに合わせた運用が実現できるのが「投資信託」です。すでに購入している人の多くは「これからは資産運用も重要だ」と考え、投資信託にアクセスしたはず。ところが、上に見てきたような事情から、商品のセールスマンの言うがままに、行き当たりばったりの投資をして、満足度も上がらずに、入れ替えを繰り返すのか、撤退なのか、塩漬けなのか・・・。

やはり大切なのは、投資家する本人が、「投資の目的」と「期待するリスク・リターンの程度」を明確にし、納得した上で選び、投資をするというプロセスなのであり、ここが欠如したままでは、資産形成どころか、(実際、多くの人が経験し、不満を感じているように)資産を毀損することになりかねません。

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最終更新:6/12(水) 12:06
幻冬舎ゴールドオンライン

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