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「老後2000万円」問題のあまりに残念なすれ違い

6/12(水) 6:00配信

東洋経済オンライン

金融庁の「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書」(6月3日)がここしばらく、話題になっています。7日にも麻生太郎財務大臣が「表現が不適切だった」などとコメントしましたが、その姿勢などをめぐって批判が高まりました。さらには10日の参議院決算委員会でも安倍晋三首相が釈明、反論をしたことなどで、一部では「炎上」が起きています。

 金融庁の報告書に対する批判として、「2000万円を自助努力で準備しろというのか!」「年金保険料を払わせるだけ払わせておいて、もらえないのは詐欺だ!」といった声がSNSなどにあふれている状態なのですが、政治家の発言を除いて、年金の話を考えてみると、こうした声のほとんどは「的外れな批判」ではないでしょうか。

 さらに言えば、一般の人がこういうコメントを出すならまだしも、評論家や有識者といわれる人たちの一部ですら不安をあおるような発言をしていることは、とても残念です。

■金融庁はとくに目新しいことは言っていない

 今回の騒動のきっかけになったのは全国紙などの記事ですが、その後に続くネットニュース、テレビのワイドショーでも同じような“不安あおり”のトーンが繰り返されています。こうした報道を見ていて私が感じるのは、おそらく多くの人は実際に発表された金融庁の報告書を読んでいないのではないかということです。

 実際にどんなことが書いてあるのかを見てみましょう。以下は、その報告書の21ページにある「2.基本的な視点及び考え方」からの抜粋です。

夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1300万円~2000万円になる。この金額はあくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。当然不足しない場合もありうるが、これまでより長く生きる以上、いずれにせよ今までより多くのお金が必要となり、長く生きることに応じて資産寿命を延ばすことが必要になってくるものと考えられる。重要なことは、長寿化の進展も踏まえて、年齢別、男女別の平均余命などを参考にしたうえで、老後の生活において公的年金以外で賄わなければいけない金額がどの程度になるか、考えてみることである。

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最終更新:6/12(水) 6:00
東洋経済オンライン

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