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タイトル詐欺一歩手前? 危険で違法な行為をする人の考え

6/12(水) 11:00配信

Book Bang

『世界の危険思想』(丸山ゴンザレス)と言うからにはクメール・ルージュのような極左やファシズムのような極右やオウム真理教のようなカルトといった具合に一般人を危険人物と化する思想の本かと思いきや、殺人犯、殺し屋、強盗、武器商人、マフィア、ギャング、麻薬の売人、薬物依存者、集団暴行する人、悪徳警官……といった、思想ではなく行為が危険な人物が何を考えているかを聞いてまわったという、ある意味で真逆の一冊であった。「タイトル詐欺」一歩手前? 詐欺師は著者のインタビュー対象からなぜか外れている。

 しかし改めて考えてみると、憲法第19条で「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」としたこの国では「危険な思想」というのは存在しないと言えなくもない。単に想いを抱くどころか、それを口にすることさえ憲法第21条が保障している以上、思想自体を危険物扱いすることこそ違憲である。さすれば「危険で違法な行為をする人の考え」の意に「危険思想」という言葉をあてるのはむしろ適切かもしれぬ。

 それでは危険なのは行いのみで、危険になり得る考えというのはないのか? 著者の答えは、「相手を『甘い』と思って『ナメる』こと」が危険。確かに違法ではないが危険だ。そして作為のみならず不作為まで戒めるという点で包括的ですらある。そして「相手」には「人物」のみならず「言論の自由」だって入る。それをナメた国会議員や出版社社長がどうなったかは記憶に新しい。

[レビュアー]小飼弾

新潮社 週刊新潮 2019年6月6日号 掲載

新潮社

最終更新:6/12(水) 11:00
Book Bang

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