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仏人IS戦闘員死刑判決で論議

6/13(木) 18:02配信

Japan In-depth

【まとめ】

・死刑反対の仏で起こった「仏人ジハード戦闘員に対する死刑問題」。

・かつて死刑に賛成だった仏が死刑廃止に傾いた道徳的・政治的理由。

・死刑廃止という理念の中、大きくなる死刑賛成の声。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て見ることができません。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=46255でお読み下さい。】



イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」に参加したフランス人11人が、イラクの裁判所で裁かれ死刑判決を受けたが、フランスでは現在、意見が大きく割れている。「死刑に反対のため救出を唱える声」と「現地で裁かれるのは当然だとする声」だ。そしてフランス国民の大半は、彼らの帰国を望んでいない。

今年2月25日、フランス、パリでイラクのバルハム・サレハ大統領とエマニュエル・マクロン大統領との会談が行われた。会談終了後の記者会見では、シリアでジハード戦闘員として戦闘中に拘束されたフランス国籍の13人の裁判を、イラクで行うことが発表された。またマクロン大統領もかねてから発言していた通り、イラク側に引き渡されたフランス人ジハード戦闘員らは「イラクの法に基づいて裁かれるべきだ」と述べた上、ただし、死刑を宣告された場合は、終身刑への減刑を要求していくとしたのだ。

フランス政府の立ち位置は一貫している。「外国で犯した罪は、犯した国で現地の法に基づいて裁かれるべきだ」としている。これは日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告においても同じ態度であったことは記憶に新しい。

しかしながら、今回ここで問題になるのは、フランスが死刑に反対しているのに対し、イラクでは死刑制度が存在していることだ。しかも、今までもイラク内で拘束された外国人戦闘員ら数百人に対して、重い判決を言い渡されてきており、今回も死刑判決が下りる可能性があった。そして予想通りフランス人のジハード戦闘員たちには次々と死刑判決が下されていったのだ。

そこで、45人の弁護士がフランス政府に対して抗議文を、ネット版のフランスニュースメディア FranceInfo.frに掲載した。要約すると「イラクでフランス国民の死刑執行されるのを認めたり、また彼らの宣告を承認すること自体が死刑廃止が宣言されているフランスの憲法に背くことになる。よって、正しく裁判が行われるフランスにて裁判を行うべきだ。」と言う内容だ。

あれほど死刑に反対すると言っていたフランスであり、多少の反対者がいても、この弁護士らのように当然死刑回避を望む声が大きいと思いきや、実際は、この弁護士の「フランスで裁判を行う論」に賛同するフランス国民は少なく、ノーを突き付ける国民の方が多かったのだ。

例えば、LeFigaroのライブ放送中に行われたアンケートでは84%がノーと答えておりRMCの討論では、弁護士たちの意見に反対する発言者に大きな拍手が送られている。

また、他にも、「イラクで裁かれるべきか」という内容のネット上のアンケート結果では、13567投票のうち、87%が賛成とされているのだ(注:この記事を書いている時点)。しかも、このアンケートは特にタイトルがとてもダイレクトなのが目を引く。「フランスのジハード主義者に対する死刑:あなたはどう思いますか?」となっており、「イラクで裁かれる=死刑」と捉えるようにも解釈できる。

実際に、強固に死刑に反対していると言うイメージがあるフランスなのにもかかわらず、死刑との結果がでることを知りながらも、多くの国民がイラクで裁かれることに賛成していることに驚きを隠せない。

しかしながら、現在でこそ死刑反対に強固な姿勢を取るフランスではあるが、実は、西欧諸国でも死刑執行に熱心だった過去がある。1939年まで公開処刑を行っていたぐらい死刑は日常の一部だっだ。しかし、他のヨーロッパが次々と死刑反対に切り替わっていく中、「世論の理解を待っていたのでは遅すぎる」と1981年に就任した社会党のフランソワ・ミッテラン大統領が死刑廃止を提案し決定した。この結果西ヨーロッパで一番最後ではあるが、死刑廃止をした国となった経緯がある。

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最終更新:6/13(木) 18:02
Japan In-depth

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