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湯浅政明監督が作品に込める裏テーマとは?『きみと、波にのれたら』制作秘話を語る

6/13(木) 10:10配信

otocoto

制作会社は、がんばっている人が力を発揮できる場所でありたい

――湯浅監督の愛読書、影響を受けた作品を教えてください。

小説だとサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」とか好きですね。具体的に影響を受けた作品といえば、妹尾河童さんのエッセイ「河童が覗いた」シリーズでしょうか。「河童が覗いたトイレまんだら」だと、いろんな著名人の自宅トイレが図面として紹介され、とても細かいところまで描かれているんです。図面を眺めているだけで楽しいし、エッセイとしても面白い。作品に登場する建物のセットを考える際に参考になりますし、海外旅行するときは「トイレを見ておかなくちゃ」という気になります(笑)。

――『きみと、波にのれたら』は、ハリウッド映画『ゴースト/ニューヨークの幻』(90年)や『タワーリング・インフェルノ』(74年)といったエンターテイメント作品も彷彿させますね。

『ゴースト』は意識しました。登場人物が4人程度なのに、すごく面白くできていると思います。火事になる高層ビルが登場するので、『タワーリング・インフェルノ』っぽくもありますよね。実体験をベースにアイデアが生まれることもあれば、ずいぶん前に観て自分の記憶の一部になっているものから生まれてくるものもあると思います。あと、映画や本ではないのですが、連結送水管が僕は好きなんです。高いビルなどの消火活動のために設置されているシステムなんですが、その送水口にポンプ車はホースを繋ぐことで消火活動が出来るんです。よく観ないと分からないと思いますが、連結送水管が個人的に好きなもので、劇中でも描いています(笑)。

――連結送水管が好き、という方に初めてお会いしました(笑)。ユニークな感性の持ち主である湯浅監督は、2013年にアニメ制作会社「サイエンスSARU」を設立して代表を務めていますが、アニメーターと会社運営の二足のわらじは大変ではないですか?

うまく回れば、そう大変ではないはずです(笑)。ちゃんと仕事をしている人が報われる職場でありたいなという気持ちで始めた会社です。がんばっている人が、ちゃんと力を発揮できる場所でありたいですね。

――『DEVILMAN crybaby』で“神回”と呼ばれている第9話をひとりで原画を描き上げたアニメーター・小島崇史さんが、『きみと、波にのれたら』ではキャラクターデザイン&作画監督に起用されています。

そうです。『DEVILMAN』での働きっぷりが見事だったので、今回はキャラクターデザインを含めた大きな役を頼みました。今どき珍しいほど、熱を持った人物です。『きみ波』でもひとり作画監督として、全シーンをチェックし、思い切った直しを入れていました。美術監督の赤井文尚さんもそう。二人は僕が心配するほどの仕事量でしたが、見事にやり遂げてくれました。がんばっている人を見ると、やっぱり僕自身がすごく励まされるんです(笑)。

取材・文/長野辰次

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最終更新:6/13(木) 10:10
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