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「彼に必要なのは自信だけ」 ヤクルト・原樹理と楽天・伊藤智仁のチームを超えた師弟関係

6/13(木) 11:00配信

文春オンライン

 ある日のこと。試合開始にはまだ時間がある昼過ぎの神宮球場。午前中に行われたあるインタビューを終え、球場を後にしようと信号が変わるのを待っていると、横断歩道の向こうには同じく信号待ちをしている私服姿の原樹理の姿があった。信号が青に変わる瞬間、彼もこちらの存在に気づき、笑顔で会釈を交わす。彼が渡って来るのを待って、少しだけ立ち話をする。前日の登板について、現在の調子について、そして今、取り組んでいることについて……。そして、彼はこんなことを口にした。

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「最近、トモさんとは連絡を取っているんですか?」

原樹理と伊藤智仁のチームを超えた師弟関係

 トモさん――ヤクルトの前投手コーチ・伊藤智仁のことだった。昨年、原樹理にロングインタビューをした際に、彼はしばしば「トモさん」というフレーズを口にした。伊藤智仁の半生を描いた拙著『幸運な男~伊藤智仁 悲運のエースの幸福な人生』(インプレス)の読者でもあり、昨年、富山GRNサンダーバーズ監督時代の伊藤が「文春野球」に登場した際の記事も丹念に読んでくれていた原樹理。彼が伊藤のことを心から尊敬していることは、僕もよく知っていた。かつて、伊藤がヤクルトを去ることが決まった際の心境を尋ねたときには、「心にポッカリと穴が開いたような感じがした」と語ったこともある。

 一方、現在は東北楽天ゴールデンイーグルスの投手コーチを務める伊藤智仁もまた、原樹理の実力を評価し、その才能の開花に大きな期待を寄せていることを、本人から何度も聞いていた。2017(平成29)年シーズン限りで、ヤクルトのユニフォームを脱いだ伊藤は、チームを去る際にこんな言葉を残している。

「ヤクルトを去ることに未練はないけれど、強いて言えば原樹理と星(知弥)が成長していく様子を間近で見ていたかったよね……」

 昨年の文春野球ヤクルトのメンバーでもあった伊藤智仁は、ことあるごとに原樹理について、「彼のポテンシャルはハンパない」と話していた。なかなか結果を残せないことについては、「もどかしくて仕方がない」と嘆き、「それでも一度勝ち始めたら、面白いように勝てるようになる」と力説した。そして、こんなことも言っていた。

「コーチ時代は、“みんなに平等に接する”という思いがあったので、公言することはなかったけれど、僕がもっとも期待し、もっとも飛躍を楽しみにしていたのが原樹理でした」

 原樹理、そして伊藤智仁――。現在、それぞれ所属するチームは違えども、二人は、互いに敬意を抱く間柄の「師弟」なのである。そして今回、その「師弟」が久しぶりの邂逅を果たした。場所は福島県郡山市、ヨーク開成山スタジアムだった。

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最終更新:6/13(木) 11:00
文春オンライン

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