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ロシアからの資本逃避を加速させたカルビー事件

6/13(木) 6:10配信

JBpress

 6月6日から8日まで、毎年恒例のサンクトペテルブルク国際経済フォーラム(SPIEF)が開催された。

 ウラジーミル・プーチン大統領が例年出席し、国内外の財界トップや関係者が集結するロシア最大規模のこの経済フォーラムも、今年で23回目を迎えた。

 今年は中国の習近平国家主席が出席し、中露首脳がそれぞれ演説の中で、米国の保護主義に対する懸念を表明したという報道を日本でも目にした方も多いのではないだろうか。

 組織委員会によると、今年のフォーラムの参加者は145カ国から1万9000人以上と過去最大であった。最大勢力が中国からの参加者(1072人)で、第2位は米国(520人)であった。

 そんな今回の経済フォーラムに「影の主役」がいた。

 ソ連解体後に市場経済化が進められた新生ロシアの市場を中心に、成長企業を見出し、積極的な投資を続けてきた米国人投資家マイケル・カルビー氏である。

 カルビー氏は居住するモスクワで、今年2月、詐欺罪容疑で逮捕された。

 投資会社「ベアリング・ヴォストーク」の創設者のカルビー氏のことをロシアのビジネス界では知らない人はいない。

 1994年からロシア、カザフスタン、ウクライナをはじめ、旧ソ連諸国の80社に28億ドル以上を投資してきた。

 特に有名なプロジェクトとしては、グーグルのロシア版ともいわれるロシアのIT大手「ヤンデックス」や、アマゾンのロシア版ともいえるeコマースロシア大手の「OZON.ru」がある。

 そのほか、筆者もモスクワ出張時に愛用する高品質食品小売店「フクス・ヴィル」への出資が挙げられる(特に乳製品はオススメです)。

 カルビー氏はロシアビジネスに対する貢献度が高いことが評価されている。欧米による経済制裁が続くなか、海外投資家が敬遠しがちなロシアが実際には有望な投資先であるという立場を取っていた。

 カルビー氏の逮捕へとつながった詐欺容疑は、同氏が株主であるヴォストチニイ銀行を巡ってのものである。

 2017年にカルビー氏らの所有する会社がヴォストチニイ銀行への債務返済として譲渡した企業株の資産価値が、実際は評価額を大幅に下回っていたという容疑である。

 ヴォストチニイ銀行からカルビー氏らが25億ルーブル(約43億円)を横領したとして告発をしたのが、カルビー氏と同じくヴォストチニイ銀行の株主だったため、ヴォストチニイ銀行の経営権をめぐる争いが関係しているという見方もある。

 2月に逮捕された後、モスクワ市内の拘置所に収監されていたが、4月に自宅軟禁へと移された。

 そのカルビー氏が、今回の経済フォーラムに参加希望を表明していたとされることから、姿を現すか否かがロシアでは注目されていた。

 ドミトリー・ペスコフ大統領報道官がカルビー氏の経済フォーラムへの参加可能性を言及し、今年のフォーラムの「ロシアと米国」というセッションへのカルビー氏の参加登録が確認されていたということも、同氏出現の期待値を上げた。

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最終更新:6/13(木) 6:10
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