ここから本文です

「電通社員のまま映画を撮った」長久允監督が『WE ARE LITTLE ZOMBIES』で伝えたいメッセージ:シビアな現実をサヴァイブするユーモア

6/14(金) 20:02配信

FINDERS

現役の電通社員としてCM製作に携わりながら撮った短編映画『そうして私たちはプールに金魚を、』が、タランティーノやデミアン・チャゼルなどを輩出した、サンダンス映画祭ショートフィルム部門のグランプリを受賞したことで一躍気鋭の若手映画監督となった長久允氏。

だが、「それは大手広告代理店のコネが~」「有名キャストを使ったから~」なんていう要素は一切なく(なにせ有給休暇を使って製作したぐらいだ)、無名のいち新人監督として、作品のクオリティだけで勝ち上がってきたことは、現在Vimeoで無料公開されている同作を観ればすぐにわかるはずだ。

6月14日から全国ロードショーが始まった、初の長編映画『WE ARE LITTLE ZOMBIES』は、日活配給によるいわば“メジャーデビュー作”だが、製作委員会には電通も名を連ねており、長久氏も会社へのプレゼンを経て「社員監督」として本作を撮っている。

『WE ARE LITTLE ZOMBIES』においても、サンダンス映画祭 審査員特別賞、ベルリン国際映画祭 スペシャルメンション賞 準グランプリ、ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭 最優秀男優賞を受賞するなど、早くも海外からの注目も集まっている同氏がいかにこの製作環境をつくりあげたのか、そして映画の魅力や監督の大きなルーツのひとつである「音楽」について、話を伺った。

電通社員のまま映画を撮れる体制を自分でつくった

―― 『WE ARE LITTLE ZOMBIES』は、フリーランスとしてではなく、長久監督が勤める電通の業務としてつくったものですよね。どうして会社員として映画をつくったのですか?

長久:とにかく映画のクオリティを上げたかったからです。日本の映画業界では、もし僕がフリーで監督を引き受けたとしても、いただける監督料は100万円くらいです。この金額では、制作を続けていくために別の仕事も引き受ける必要があります。これに対して、会社員としての業務にしてしまえば、給料をいただきながら100%制作に没頭できます。高い密度で作品制作に没頭するために、絶対に社員でいる必要がありました。

―― 元々映画をつくるポジションにいたわけではないですよね?

長久:ええ。最初に撮った『そうして私たちはプールに金魚を、』(以下『金魚』)のときにはCMをつくる部署にいたので、有給休暇をとって制作していました。

1/8ページ

最終更新:6/14(金) 20:02
FINDERS

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事