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坂本龍一ロングインタビュー:人も企業も反自然的

6/14(金) 14:03配信

オルタナ

世界的な音楽家、坂本龍一氏は2007年、森林保全活動を行う非営利団体「more trees(モア・トゥリーズ)」(東京・渋谷)を立ち上げた。東日本大震災の被災地や福島の避難区域、石木ダム計画の建設予定地(長崎県)などにも足を運ぶ。こうした社会的活動に取り組み続けて達した結論は「人間も企業も『反自然的な存在』。だからこそ自覚を持つべきだ」と話す。その真意を聞いた。(聞き手: 森 摂=オルタナ編集長、吉田 広子=同副編集長、写真:福地 波宇郎)

――坂本さんはそもそもサステナビリティ(持続可能性)をどのように考えていますか。

まず、現代の人間は長生きし過ぎだと思います。両親は2人とも他界しましたが、1人の人間が死ぬと、膨大な物が残ります。とにかく物が多い。1人の人間が生きている間、莫大な消費があり、それだけでも環境に大変な負荷がかかっています。

1万2千年くらい前までは地球全体で総人口が恒常的に500万人ぐらいといわれ、30人から50人くらいのコミュニティーで生きていたそうです。環境に守られつつ、自然の恵みを受けて、あまり環境に負担のかからない生き方をしていました。

ところが、この100年で人類は急速に資源に依存し、環境への負荷が指数的にものすごく上がりました。

100年で急速な変化

――世界人口は現在75億人でこの50年で2倍になり、2050年には98億人に達すると見込まれます。

特に、日本や米国、欧州などの先進国では、長生きが顕著です。100年前の日本では、人生50年と言われたものです。今では日本人の平均寿命は80歳を超えています。

――これからは人生100年時代だと言われています。

「アンチエイジング」など、正直いかがなものかと思います。個人のサステナビリティは、短い方が良いです。コミュニティーや地球全体のサステナビリティを実現するためには、個人があまりに負荷をかけ過ぎていますから。

決して「人間はいなくなった方が良い」と言っているわけではありません。生きているだけで、どれだけ負荷をかけているのかを、人間は自覚するべきです。「寿命を延ばせば良い」というだけの考えは、おかしいと思います。

――サッカーの元日本代表監督の岡田武史さんも、オルタナとのインタビューで「『地球を守ろう』と言うのはおこがましい。むしろ存続が危ないのは人間だ」と話していました。

地球の寿命はあと50億年と言われています。人間が「地球を守れ、自然環境を守れ」というのは、まぁごう慢ですよね。自分たちで壊しておいて自分で守れと言っている。

動物はそんなことはしません。与えられた自然環境の中で、増えたり減ったりしている。天敵がいなくなれば個体数は増えますが、そうすると自分たちの首を絞めるので自然淘汰されていきます。

自然の恩恵を受けて生きているのに、人間は自然環境を自分たちの技術力で大きく変えてしまいました。だからこそ「人間は反自然的な存在」だと自覚しなければ。

――日本人は昔から環境意識が高いと言われますが、気候変動対策や「海洋プラスチック憲章」に署名しないなど、遅れている面もあります。

日本人の意識が高いというよりも、「言われたから」あるいは「隣がやっているから」ということも大きいのでは。日本人の集団心理はよく批判されますし、僕も集団圧力の強い社会だと感じることもあります。

しかし、自分たちの環境を守ることにおいて、プラスに作用しますね。「みんながやっているから、自分だけやらないわけにはいかない」といった集団心理で動くことも意味があるからです。

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最終更新:6/17(月) 15:21
オルタナ

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