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米、中国の膨張を抑える決意

6/14(金) 23:00配信

Japan In-depth

3.「国家防衛戦略」

「国家防衛戦略」は、軍事費の運用等の指針を示した文書。マティス米国防長官によって2018年1月に発表された。

古森氏によれば、この文書の柱は、「戦争を防ぐ最善の方法は、想定される戦争を遂行して勝つ能力を確実に持っておくことだ」という抑止の考え。トランプ大統領は、これを根拠に軍事費を増強し、政権の公約の一つ「強いアメリカ」の実現を目指す。軍事費を支出する主要な部門は東アジア。軍拡を進める中国を潜在的脅威ととらえ、対抗する姿勢を明示している。

さらに、国家防衛戦略と一体になった国防支出権限法には、アメリカの国防関連組織と政府機関がファーウェイとZTEの製品を使わない旨を明文記載した。

■ 対中姿勢激化の理由

現在、中国問題はアメリカ政治において、ますます大きな比重を占めるようになっているという。

古森氏は、アメリカが対中姿勢を激化させた理由について、アメリカの専門家の論を挙げて説明した。



1. 中国がアメリカのハイテクを不法に収奪すること

特にファーウェイについては、約10年前から、被害の実例や危険性がアメリカ議会で報告されてきた。

「ファーウェイは、社会信用体系を築いて、国民の締め付けの主役を担ってきた。一党独裁の警察国家を作る企業だとして、アメリカは警戒感を強めた。」と述べた。



2. 統一戦線工作

「統一戦線工作部」は、国内の非共産党勢力を引き込み連携する、中国共産党の組織である。習近平政権は、この組織の役割を対外戦略にまで拡大した。例えば、親中派を育成する教育機関「孔子学院」を、2004年から世界各国の大学内に500か所以上設置した。

アメリカは、統一戦線工作の内実を明るみに出す動きを見せているという。



■ 中国の対米姿勢

中国の対米姿勢を、古森氏は「アメリカと対決してでも、世界に自分たちの考えに基づく影響圏を広げる決意は固い」と分析する。

「中国は、アメリカの国防政策の激しさをよく理解している」と古森氏は述べた。第一次湾岸戦争での米軍の戦いぶりを目にして、軍拡に踏み切ったと、中国人民解放軍幹部がエッセイで語っているという。

以来、中国はアメリカに対抗する姿勢を示してきた。とはいえ、中国共産党の主張する影響圏は東アジアにとどまっていたし、米中は経済面の多くの分野において相互協力の関係を結んでいた。例えば、中国は、アメリカの政府債券を買って財政赤字を補填した。また、9.11の際には国際テロと対抗して両国は手を結んだ。ところが、習近平政権は、対米姿勢を強硬路線に転換した。

2018年6月、中央外事工作会議において、「中国の主導」による「社会主義的な」「グローバル統治」を目指し、「中国の特色」をグローバルに広げていくと宣言したのだ。



■ 今後の見通し

古森氏は、米中の貿易戦争は長く続くと予測している。そもそも中華人民共和国の在り方が、アメリカの在り方そのものと合致せず、アメリカ側は中国の共産主義的なやり方の根幹部分に対して過激になってきているという。

例えば、Committee on the Present Danger China (CPDC)という新しい委員会が設立された。そのようなことから、「単に習近平だけでなく、共産党の体制が崩れるまで戦い続けるということを非公式には語っている。」と古森氏は説明した。

このことで、中国と取引する日本企業も少なからず影響を受けると予想できるが、日本企業は今後どのような対策をとっていくべきか。

戦後から日本の在り方であった1)全方位外交、2)架け橋外交、3)経済至上主義の3つが米中の対決によって難しい状態に追い込まれた。

古森氏は、「今まで続いてきた米中の緊密な経済関係が、摩擦と対立によって後退することは避けられない」ことであり、「日本企業にあてはまる損害は、全体的にはアメリカ企業よりも大きくなるのではないか」と推測した。しかし、現在のトランプ政権の「関与をきっていく(Disengagement)」、「切り離す(Decoupling)」という流れからすれば、「中国との関係が極めて低調になっても、やむを得ない。」と、古森氏は述べた。

また、古森氏はアメリカの方針に背く行動をとったときの日本の損失について考えると、「中国との取引や中国への投資というのは、やはり減っていくのではないか」と予測し、総合的に考えた上で「日本はアメリカ側につく」というのが現時点では賢明だという考えを示した。

古森氏は、「今までの米中関係で最大の転換年、危機かもしれない。今の米中関係はそのくらいの深刻さを帯びているという背景を頭に入れて、関税問題についても考えてほしい。」と、貿易関係に限らず米中関係の背景についての理解も呼びかけた。

Japan In-depth 編集部(小俣帆南、石田桃子、高橋十詠)

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最終更新:6/14(金) 23:00
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