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中国との「援助競争」に乗ってはいけない理由

6/14(金) 6:30配信

Book Bang

「お金を出せば、それで相手国の信頼と尊敬が得られるというわけではない」――この度、『世界地図を読み直す:協力と均衡の地政学』(新潮選書)を刊行した北岡伸一・国際協力機構(JICA)理事長と、中東・イスラーム研究者の池内恵・東京大学教授が、国際協力のあり方について対談しました。

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池内 今回の本では、中国を訪問した話は入っていません。しかし序章では「一帯一路」について詳しく書かれていますし、またアジアやアフリカの国々を論じる中でも、常に影のように中国の存在が感じられるような内容になっています。中国にどう向き合うかが、本書の隠れたテーマではないかと思いました。

北岡 地政学と言うなら、本来は真っ先にアメリカ、中国、朝鮮半島を書かなければなりません。しかし、これは非常に大きな問題で、すぐに片付く話ではない。せいぜい引き分け狙い、四勝六敗でも仕方がないというぐらいです。
 一方で、外交の世界は大きな問題だけで成り立っているわけではありません。「遠交近攻」ではないですが、アジアやアフリカの国々と日常の問題について協力していくことが、じつは中国と向き合う国際秩序を作っていく上でも意外に有効なのではないかと考えています。

池内 もちろんJICAには中国に挑戦する気などないでしょうが、本を読むと、結果的に何となく中国を取り巻くように事業を展開しているように見えますね。

北岡 中国に対する警戒は必要ですが、だからと言って、何でも対抗する必要はないと考えています。本でも書いたように、「一帯一路」についても条件付きで協力して、むしろ中国と一緒になって開かれた国際秩序を作っていく方がいい。
 アフリカ諸国への協力についても、どうしても「中国との援助競争」と思われてしまいがちです。しかし、お金を出せば、それで相手国の信頼と尊敬が得られるというわけではありません。先ほどの紛争解決の話と同じで、やはり現地の人が主役となって取り組まなければ発展などできません。日本がやるべきことは、現地の人の要望をしっかり聞いて、彼ら自身で問題を解決できるように側面からサポートすることです。

池内 中東でも、中国のプレゼンスは拡大していますが、そのおかげで日本が得している面もあります。これまで日本に無関心だった人々が振り向いてくれるようになりました。世界の重心が東アジアに移るに伴って、中国に依存しすぎないようにバランスをとる対象としての日本の影響力も増しているように感じます。

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最終更新:6/14(金) 6:30
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