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「倉敷ガラス」のレジェンド小谷眞三を知っていますか?

6/15(土) 18:55配信

Casa BRUTUS.com

ガラスづくりに携わって70年。バーナード・リーチが愛し棟方志功も憧れたガラス職人の写真集が発売される。

「5年前、取材に訪れた倉敷で偶然出会ったのが、来年で90歳になるガラス職人の小谷眞三さん。民藝がブームになってお洒落カルチャー誌でも取り上げられる中、自ら建てた小屋のような工房でひとりコツコツと、膨大な数の素晴らしい作品をつくっている、質素で謙虚な職人がいることに感動してしまったのです」

そう語るファッションフォトグラファーの赤尾昌則が、小谷の元に通い続けて撮りためた写真を作品集にした。多くの美しいものを見てきた写真家をそこまで魅了した小谷眞三とは、一体何者?

ガラスのクリスマスオーナメントを吹く職人だった小谷が、岡山の手工芸「倉敷ガラス」の原型を生み出したのは昭和38年。倉敷民藝館初代館長の外村吉之介に「機械でつくったグラスで水を飲むと心まで冷たくなる。毎日使いたくなる手仕事のコップを吹いてくれないか」と頼まれたのが始まりだ。

メキシコのグラスを研究し、自ら煉瓦を積んで窯を築いた小谷は、全工程をひとりで行う手法を開発した。今、多くのガラス作家が行っている宙吹きガラスの原点ともいえる方法だ。1300℃の高温炉の前で吹き竿を持ち、踊るように体を動かしながら息を吹き込んでつくる作品の数々。自然なゆがみをもつ形や、“小谷ブルー”と呼ばれる深く澄んだ青色は、民藝運動の陶芸家バーナード・リーチに愛され、棟方志功に「どうしても欲しい」と熱望されたほど。今も個展の日には早朝から全国のコレクターが行列をつくる。

「小谷先生の口癖は『ガラスはつくったんじゃないんじゃ。生まれてきたんじゃ』。信念と負けん気で長年ふんばり続けた結晶を目の前にすると、微笑ましさと同時に切なさも感じるんです」(赤尾)

写真集は、美術館やコレクターを訪ね歩いて撮った稀少なガラス作品が収録された上巻と、小谷の真面目な仕事や愛嬌ある人柄を伝える下巻の2冊組。一度目にしたらきっと虜になる、そんなレジェンドの仕事が詰まっている。

photo_Masanori Akao text_Masae Wako

最終更新:6/15(土) 22:38
Casa BRUTUS.com

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