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大麻を吸った最古の証拠、2500年前に意図的に育てていたか

6/15(土) 8:20配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

「ハイ」になる大麻を意図的に育種した可能性も、中国西部

 大麻がドラッグとして使われていたことを示す最古の直接的な証拠が、中国西部の2500年前の共同墓地から発見された。研究論文が6月12日付け学術誌『Science Advances』に発表された。

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 アジアの同時代の遺跡では、これまでも何度か大麻草とその種子の痕跡が見つかっていて、2016年には大麻草で遺体を覆う「埋葬布」も発見されている。だが、大麻草の用途は幅広いため、向精神作用のために使われたのか、それとも何らかの儀式のためだったのかはわかっていなかった。

 国際研究チームは今回、中国西部のパミール高原にあるジルザンカル墓地から発掘された、木製の鉢10点とその内容物を分析した。鉢には高熱にさらされた形跡のある小石が入っていたことから、考古学者たちは鉢の正体を、香などの植物性の物質を燃やすための火桶であると特定した。

 鉢を化学分析したところ、10点のうち9点は、かつて中に大麻が入っていたことが明らかになった。そこで研究者たちは、これらの試料の化学的特徴を、中国北西部にある別の遺跡、加依墓地で発見された大麻草と比較した。

 その結果、ジルザンカル墓地の大麻草は、加依墓地の大麻草にはない物質を含んでいることが判明した。向精神作用を引き起こすテトラヒドロカンナビノール(THC)分子の名残である。

意図的に栽培していた?

 ジルザンカル墓地の大麻には、これまでに他の遺跡から見つかったものに比べ、向精神作用のある化合物が高い濃度で含まれている。これは当時の人々が、ハイな状態を引き起こす特定の大麻株を意図的に栽培していたか、そうした作用があるものを野生の大麻草の中から選んでいた可能性を示唆している。

 大麻草は、日光や気温、標高といった要因により、世代ごとに異なる形質が現れることで知られる。例えば、標高の高い場所で育つ野生株は、THCの濃度が高くなることがある。

 研究チームによると、ジルザンカル墓地で使われた大麻草の起源を特定することはできなかったものの、この墓地が標高3000メートルのパミール高原にあることを考えると、THC濃度の高い野生株が近くに生えていた可能性があるという。それどころか、近くに良い大麻株が生えていたからこそ、この場所が墓地に選ばれた可能性さえある。

 論文の共著者で、ドイツ、マックス・プランク人類史学研究所の古民族植物学研究室を率いるロバート・シュペングラー氏は、パミール高原は中央アジアや中国を西南アジアと結ぶ交通の要衝であり、常に人々が行き来していたため、地元の大麻株とほかの地域の大麻株の交雑が起きたのかもしれないと指摘する。大麻のTHCの濃度は、交雑によっても高くなることが知られているが、今回の例で交雑が意図的に行われたのか、偶然起きたのかはまだわからない。

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