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地球の裏側にあるボールもつかめる!? 「テレロボティクス」の驚くべき世界

6/15(土) 12:12配信

WIRED.jp

あの日本企業が出資

この新しいシステムは、独自の専門分野をもつ3つの異なる企業の部品で構成されている。ハプティクス手袋は、シアトルのスタートアップであるHaptX、ロボットハンドは英国のロボットメーカーであるShadow Robot、指先部分は南カリフォルニア大学からスピンアウトしたSynTouchが開発した。

プロジェクトに出資しているのは、全日本空輸(ANA)の持ち株会社であるANAホールディングスだ。同社は究極に言えば、人と人をつなぐことを目的としたビジネスを展開している。このテレロボティクスもそのひとつだが、従来のアプローチとは一線を画していると言える。

最初にShadow Handについて説明しよう。見た目は皮膚がはがされたターミネーターのようだが、それほどメタリックな感じではない。人間の手の主な動きを再現するようにつくられており、それをうっとりするほど正確に実行してくれる。

「しかし、手のひらの丸め方、親指の付け根の動き、関節を覆う皮膚など、いくつかの細かい部分はデザインにまだ盛り込まれていません」と、Shadow Robotの管理責任者であるリッチ・ウォーカーは語る。「この種のプロジェクトにおいて本当に興味深い点は、何かを実現するために必要なものと、あったらうれしいものの違いがわかることでしょう」

ロボットハンドの指先には、それぞれ24個の電極を散りばめたドーム状の物体がくっついており、それがシリコンの皮膚に覆われている。そこに生理食塩水を注入することで、シリコンの皮膚と電極との間に、いわば海のような環境を生み出している。指先に圧力をかけると、電極が生理食塩水の抵抗の変化を感知し、ロボットハンドは微妙な触感まで得ることができる。

まるでサイボーグのような感覚

手袋をはめると、遠近感を失った。横並びの画面が映し出すふたつのカメラの映像を見なければならなかったからだ。これらのうちひとつはズームアウトされた映像で、ロボットアームに焦点が合わせられている。もうひとつはテーブルの上に置かれたボールを接写していた。

こうした視点で人間が世界を眺めることはない。なぜなら、わたしたちは手元を見ることに慣れているからだ。とはいえ、ズームアウト映像を見ながらロボットハンドをボールに向かわせるよう操作して、ボールに触れる間際に視点を切り替え、接写映像を眺めるという方法にも慣れてくるだろう。

映像を見るコツを一度つかめたら、まるでサイボーグのように自分の腕を大西洋の向こう側までぐんぐん伸ばしているような感覚を味わうことができる。

「ものに軽く触れると、アクチュエーターが部分的に膨らみ、指先の皮膚がそっと押し上げられます」と、HaptXでテレロボティクス・プロジェクトを率いる研究開発責任者のマイケル・アイヒミュラーは説明する。「ボールをしっかり握ると、アクチュエーターが完全に膨らんで、フォースフィードバック外骨格が起動します。これによって皮膚が押し返され、ボールの表面付近における指の動きが制限されるのです」

こうした動きの制限によって、固体をつかむ感覚を再現している。実際には何もつかんでいないのにもかかわらずだ。

これは、わたしたちにとってなじみのあるハプティクスではない。慣れ親しんでいるような体に響く振動は、携帯電話やゲームコントローラーには適しているだろう。ただ、こうしたデヴァイスは物体の触り心地を再現しようとしているわけではなく、せいぜいテキストメッセージの受信を伝えるか、ヴィデオゲームなら近くで爆発があったことを知らせようとしているだけである。

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最終更新:6/15(土) 12:12
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