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データ・ドリブン・エコノミーはどう動く?「経験や勘」データ化でGAFAと勝負

6/15(土) 6:20配信

NIKKEI STYLE

『データ・ドリブン・エコノミー』

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測しているリブロ汐留シオサイト店だ。5月は10連休の影響もあってビジネス書の売れ行きは鈍った。6月に入って復調傾向というが、上位には1~3月刊の本が並び、勢いのある新刊は少ない。そんな中、書店員が注目するのは、これからのデジタル社会の様相を明確に描き出した情報ネットワーク社会研究の専門家の本だった。

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デジタル革命の先行きを見据える

その本は森川博之『データ・ドリブン・エコノミー』(ダイヤモンド社)。著者の森川氏は東大教授で、あらゆるものがネットにつながるIoT、ビッグデータ、情報社会デザインなどを研究テーマとし、国際機関や政府審議会などで情報ネットワーク社会への様々な提言をしている学者だ。本書はネットビジネスにとどまらないデジタル革命の先行きをはっきり見据え、日本企業やそこで働くビジネスパーソンは何ができるか、わかりやすく指針を示した内容だ。

「いま私たちは、データが経済・社会の変革をもたらす新しい時代の幕開けに立ち会っている」。著者は冒頭でこう宣言する。ここでいうデータとは、ネット上の「ウェブデータ」だけを指すのではない。「これからはリアルな世界の『リアルデータ』が主役になる」というのだ。製造プロセス、モビリティー(移動手段)、医療・健康、インフラなど、あらゆる領域でリアルから集めたデータが新たなる価値を生み、企業・産業・社会を変革していく一連の経済活動。これが表題でいう「データ・ドリブン・エコノミー(データ駆動型経済)」である。

「飛翔期」はこれから

それゆえ、これまでの20年をデジタル革命の助走期ととらえる。「一歩引いた視線で見渡してみると、世の中はアナログで溢(あふ)れている」というのが本書が提示する重要な視点だ。経験や勘に頼って行われている膨大なアナログプロセス。これをデータ化し、新たな価値を生み出す。そこにこれからの巨大なビジネスチャンスがある。ここはGAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)といったITの巨人が主導権を握っていない領域だ。

この領域が動き出すことによってデジタル革命は「飛翔期」を迎え、いまから20年後、2040年ごろに真のデジタル社会が到来すると予測する。こうした大きな流れを見渡した上で、すでに始まっている先駆的な試みを事例とともに紹介、製造業やサービス業に起こる変化だけでなく、医療・ヘルスケアや農業、地方創生などで起こるビジネス変革の様相も描き出す。

変革のキープレーヤーになるにはどのような視点が必要で、どのような思考法を用いるべきか、組織としてはどんな対応が望まれるかなどにも踏み込んで未来図を提示しているのも本書の特徴だ。日本のビジネス界やビジネスパーソンへの著者の期待もにじむ。

「4月の発売以来、ずっとよく売れている。いろいろな会社の人が幅広く買っているようだ」と店長の三浦健さんは話す。データ・ドリブン・エコノミーという大きな視点がIT企業以外のビジネスパーソンにも関心を持たれているようだ。

(水柿武志)

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最終更新:6/15(土) 6:20
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