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世界遺産:「絵本」のように美しい聖書の壁画が見られる修道院

6/15(土) 12:09配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

「東のシスティナ礼拝堂」と称される美しい壁画、ルーマニア

 ルーマニア北部モルドバ地方の辺境の村、ボロネツに、人びとの訪れを待っている傑作がある。聖書を主題とする壁画で、天秤の両側にいる天使と悪魔が、ひとりの男の生前の善行と罪を精査する様子が描かれている。

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 その周りでは、墓から起き出した幾多の死者たちが「最後の審判」を待っている。生々しい、見る者の心をつかんで離さない光景だ。500年前に描かれたこのフレスコ画によって、ボロネツ修道院が「東のシスティナ礼拝堂」の異名を得ているのもうなずける。

 この修道院を入れて、同様の壁画がある教会は8つあり、「モルドバ地方の教会群」としてユネスコの世界遺産に登録されている。そのうちのいくつかは突出しており、生き生きとした色彩で物語を伝えている。ボロネツ修道院では、その名を取って「ボロネツブルー」と呼ばれる特徴的な青灰色が使われている。一方、フモール修道院の壁画は赤褐色が基調で、まったく違う印象を与える。最も鮮やかな色が残っているのはスチェヴィツァ修道院で、砕いた鉱石や半貴石、希少な粘土を原料とする顔料が使われている。

 これらの建物は、15世紀にモルドバ公シュテファン3世(大公)により建設された。モルドバ地方を侵略から守るために戦い、ドラキュラのモデルとしても知られるヴラド3世(通称「串刺し公」)との協力関係まで築いた人物だ。

 農民のほとんどは字が読めなかったため、東方正教会は建物の内外をキリスト教の物語を教える壁画で覆い、ビザンチン美術による聖書絵本のような教会を作り上げた。

 教会の敷地内を歩いていると、修道士や修道女が礼拝の時間を告げるために木板を木槌で叩く音が聞こえるかもしれない。これは、占領者により、鐘を鳴らすことが禁じられた時代からの伝統だ。

おすすめの時期

 ルーマニアの冬は身を刺すような寒さで、移動も困難になるため、4月中旬から10月初旬の間に訪れるようにしよう。

行き方

 教会群から最寄りの街であるスチヤバまでは、ルーマニアのブカレストやオーストリアのウィーンから飛行機や電車で行くことができる。修道院のある場所は分散しており、公共交通機関でたどり着くのは難しいため、現地でレンタカーを借りるのがベストだろう。

訳=山内百合子

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