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【動物は知っている】オスはつらいよ、弱いオスザルほど「おしゃべり」

6/15(土) 15:02配信

ナショナル ジオグラフィック日本版

「男はつらいよ」と言いたくなるのは、人間だけではないようだ。

 たとえば、アフリカのマダガスカル島にすむワオキツネザル(Lemur catta)は、弱いオスほど口が達者になるらしい。

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 このサルは、20種強の鳴き声を使い分けている。なかでも、弱いオスにとって特に重要なのは、ウーとうめくような長い鳴き声と、フンフンと鼻を鳴らすような短い声だ。

「彼らは群れとのつながりを保つために長い鳴き声を使い、仲良しのサルとの関係を保つために短い鳴き声を使っています」

 ワオキツネザルの声と行動に関する論文を、2017年に学術誌「Ethology(動物行動学)」に発表したカナダ、トロント大学の霊長類学者であるローラ・ボルト氏はそう語る。

弱いオスには危険がいっぱい

 ワオキツネザルの群れで優位なのはメスで、発情期には複数のオスと交尾をする。だが、この時期を除くと、ワオキツネザルの弱いオスには危険がいっぱいだ。

 若いオスの多くは両親の群れから出ていくが、通常、ほかの群れからはあまり歓迎されない。オスのトップにならないかぎり、群れの中で最も低い地位になる。しかし、だからといって放置されるわけではない。

「弱いオスは、群れのメスたちに叩かれたり噛まれたりします」とボルト氏。

 メスたちに攻撃されたり、ライバルのオスに負けたりしたオスは、群れの中に入らず周りで暮らすようになる。離れていれば、虐待されにくくなるからだ。「それでも群れが移動するときには、彼らも後をついていきます」

 だが、群れの後をついていくオスは、捕食者に襲われる可能性がとても高い。

少しでも安全に暮らす努力か

 そこで、彼らの声と行動について調べるため、ボルト氏はマダガスカルの森にすむワオキツネザルの群れを5カ月にわたり追跡してみた。その結果、どのオスも2種類の鳴き声を発していたものの、フンフンと鼻を鳴らすような短い声は、弱いオスがより多く上げていることが明らかになった。

 群れの周りで暮らす弱いオスは、メスに叩かれるか、捕食者に襲われるかという綱渡りの日々を送っている。彼らはやさしい隣人に鼻声でしゃべりかけることで、少しでも安全に暮らそうとしているのかもしれない。

 この研究は、ヒトの遠い親戚が、どのように相互作用し、固く結びついた群れを維持してきたかを解明する手がかりにもなる。ボルト氏いわく、キツネザルの言語を学ぶことで、「初期人類の進化において、どんな要素が重要だったのかについてのヒントも得られるかもしれません」

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