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逃げ場がない!慶應幼稚舎「6年間担任持ち上がり制」の弊害

6/15(土) 0:00配信

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「東大理3より難しい」―
“慶應義塾幼稚舎”の入試を評するときによく使われる表現だ。ここでいう「理3」とは東京大学理科3類。全国に82ある医学部の中でも、断トツの偏差値を誇り、国内の大学入試で最難関とされる東大医学部である。彼らのキャラクターのせいもあって、言い方は悪いが、「偏差値オタク」との呼称が理3の代名詞になっているほどだ。そんな彼らがもし若返って、“慶應義塾幼稚舎”の入試に挑戦できたとしても、まず合格できないだろう。
 日本のエスタブリッシュメント層を多く輩出してきた“慶應”を体現し維持しているのは、まさしく幼稚舎であり、多くの者が抱くそのブランド力への憧れが人気を不動のものとしているのである。『慶應幼稚舎の秘密』では、出来る限り多くの幼稚舎出身者にインタビューを行い、知られざる同校の秘密を浮かび上がらせていく。その一部より、興味深い部分を掲載したい。

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  慶應幼稚舎の教育システムの最大の特徴は「6年間担任持ち上がり制」だろう。「6年間担任持ち上がり制」は、生徒一人ひとりの特性を把握して、細やかな対応がしやすいというメリットがある。さらには、生徒同士の友情や教員と生徒の密な関係が生まれやすい。

「私は幼稚舎を60年ほど前に卒業したのですが、大学を卒業してから毎年、クラス会が開かれています。この半世紀、毎回、9割以上のOB・OGが出席。担任も必ず顔を出してくれます。これまでの人生の中で、一番の仲間といえるのは幼稚舎の級友以外にありえません」(前出・OB)

 その一方で、6年間担任持ち上がり制の問題点を指摘する声も少なくない。もっとも多いのは、逃げ場がないということだ。10数年前に幼稚舎から子どもを自主退学させたという父兄は次のように振り返る。

「うちの子どもはあまり友達づきあいがうまいタイプではなく、クラスの中で浮く存在になってしまったんです。担任の先生との相性も良くなく、3年生の途中で不登校になってしまった。クラスが替われば何とかなるとも思ったのですが、あと3年間以上もこのままの状態が続くと考えたら、子どものためにならないのではという気がしてきて、やめさせることにしたんです」

 この生徒は他の私立小学校に編入。そこではうまくいき、不登校も解消されたという。

 生徒同士だけでなく、親同士でも一度あつれきが生じるとやっかいだ。幼稚舎にはPTAがなく、親が参加しなければならない会はあまり多くないものの、他の父兄との関係がこじれてしまうと、精神的な消耗度は激しいようだ。前出の父兄はこう続ける。

「子どものこともあって、あるお母さんに文句を言ったら、非常に険悪な雰囲気になってしまい、以降、父兄が集まる会に参加するのが嫌になってしまったんです。子どもがまだ不登校でなかった頃は、運動会や学習発表会には何とか顔を出していたものの、年2回の保護者会には出席しなくなっていました。からだの調子も悪くなり、病院に行くと軽いうつ病と診断され、医師からも無理にそうした会に出る必要はないと言われていたんです」

 逃げ場がないのは教員も同じ。2000年10 月には、6年生の担任だった
31歳の教員が自ら命を絶つという事件も起きている。

「とても教育熱心で、カリキュラムも目一杯詰め込む感じで、幼稚舎の担任に多い、生徒を伸び伸びと育てるタイプとは違っていました」と話すのは、この事件を知る幼稚舎関係者だ。

 なお、専科教員が受け持つ教科を除き、国語、社会、算数、総合(生活)、体育の一部は担任が授業を担当する。教科書は学年で共通のものを使うが、教材やカリキュラムは担任の裁量に任され、クラスによって授業内容はかなり異なる。自殺した教員は自分が受け持つクラスの生徒の学力を伸ばそうと、宿題なども積極的に出していたという。

「家に帰って親に不満を洩らす生徒が少なからずいたようです。その父兄と思われる人たちから、学校側に担任を替えてくれというようなメールが届くようになった。それを知った教員は相当なショックを受け、悲劇が起こったのです」

文/田中 幾太郎

最終更新:6/15(土) 0:00
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