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日本の少子化問題が解決されそうにない、絶望的な理由

6/15(土) 14:30配信

webマガジン mi-mollet

少子化問題についての政治家の失言がとどまるところを知りません。自民党では失言防止マニュアルなるものを配布したそうですが、ほとんど効果はないでしょう。その理由は、発言を行った本人が本気でそう思っているからです。

これは失言を行った政治家個人の資質にとどまる話ではありません。日本社会では、何か問題が発生しても、その解決策について総合的に考えることはせず、誰かのせいにしておしまいというケースが圧倒的に多く、少子化問題もそのひとつに過ぎません。この思考回路を抜本的に変えない限り、同じことを繰り返す可能性が高いでしょう。

衆院議員の桜田義考氏は、会合で少子化問題について言及し「お子さんやお孫さんにぜひ、子どもを最低3人くらい産むようにお願いしてもらいたい」と呼びかけました。この発言に対しては批判が寄せられましたが、いつものように「言葉の切り取り」「言葉狩り」といった反論も出ているようです。

言葉の切り取り云々という議論については、あまりにも不毛ですので言及するつもりはありませんが、この発言の最大の問題点は、本人が心の底からそう思っている可能性が高いということです。同じ会合で「結婚しなくていいという女性がみるみる増えちゃった」とも語ったそうですから、桜田氏が結婚しない女性が増えたので少子化が進んでいると考えているのは明らかです。

桜田氏以外にも少子化問題について「女性が子どもを産まないことが原因」とする発言は極めて多く、この考え方は日本社会の中でかなり広範囲に共有されているとみてよいでしょう。

説明するまでもありませんが、子どもは女性だけで産めるものではありませんし、子育てについても、世帯が行うものですから、(単身世帯を除けば)女性だけに限定される話ではありません。桜田氏のように、出産と結婚をセットに考えるのであれば、なおさらのことです。

子どもを積極的に持ちたいと考える世帯が減っているのであれば、そこには明確な理由があるはずであり、それは女性だけの判断ではなく、男性も含めた世帯全体の判断ということになります。もし本当に出生率を上げたいのであれば、世帯が子どもを欲しがらない(あるいは断念せざるを得ない)理由を探り、その部分について政策的に重点支援しない限り、事態が改善することはありません。

現実問題を解決するためには、状況について俯瞰的に考察する「システム思考」が必須となりますが、困ったことに日本人はこの思考法が極端に苦手です。わかりやすい「誰か」に責任を押しつけることで解決しようとするケースが圧倒的に多く、仕組みとして解決策が提示されることはまずありません。そして、責任を押しつけられる人というのは、ほとんどの場合、社会的弱者です。

桜田氏の発言に対して、ある人がSNS上で「本当は子どもがもっと欲しいのだけれども」と前置きした上で、「困った時に『わかってて3人産んだから自業自得』って言うんでしょう?」と述べていましたが、この発言は、今の日本社会が抱える病理を的確に示しているといってよいでしょう。

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最終更新:6/15(土) 14:30
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